体育祭当日C 〜エースを取り戻せ!〜
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ね」
「ええ……二人三脚と1,200mリレーには出たかったのだけれど」
「そうだったんだ。楽しみだったとか?」
「いいえ。リレーにはきっと私の兄がアンカーとして出るから」
「あ、そっか」
堀北さんの兄、生徒会長の堀北学先輩。
文武両道の完璧超人だったっけ。
そうか。堀北さんはお兄さんに認めてもらいたくて、お兄さんに追いつきたくてこの学校に来たんだもんね。全学年合同の試験は一緒に走れるチャンスか。
あれ? そうなると、本当はアンカーで出たかったんじゃ?
「あの、ごめん。もしかしてアンカーで出たかった?」
「最初はね。でも練習をしていて、アンカーは沢田君しかいないと思ったわ。だからそこに不満はないの」
「そうなの? それなら良かったけど。……あ、二人三脚はどうして?」
話題を二人三脚に移すと、堀北さんは少しいい辛そうにこう言った。
「……その、せっかく練習も頑張ったのだし、本番で沢田君と一緒に1位が取りたかったのよ……」
「! そっか……」
理由を言い終えた堀北さんは俺から顔を背けてしまった。
若干耳が赤いのは気のせいか?
……でも、二人三脚なら今の堀北さんも参加できる方法がある。
堀北さんがその方法を受け入れてくれれば、だけどね。
「堀北さん、二人三脚なら足を酷使せずに参加する方法があるよ」
「! 嘘、そんな方法が?」
「あるんだよ。男女別二人三脚で須藤君がやってたんだけどさ」
「……ちょっと待ちなさい。まさかよね」
俺が考えている事が分かったのか、堀北さんは俺の言葉を遮って来た。
「多分そのまさか。俺が堀北さんを抱えて走るんだ」
「……それはちょっと」
やっぱり恥ずかしいらしい。でも、これなら堀北さんも参加できるし、1位も狙いやすいはずだ。
「やっぱり恥ずかしいよね」
「そうね……抱えられて走られるのはちょっと」
「無理は言わないよ。代わりのペアを探すから気にしないで」
「……いいえ、やっぱりそれで行きましょう」
「え?」
いきなり心変わりした様子の堀北さん。急にどうして気持ちが変わったんだ?
「今からペアを変えれば、沢田君も大変だろうし。よく考えれば、もうおんぶされているのを不特定多数の人に見られてるもの。抱えられてるのを見られてもそんなに変わらないわ」
「そっか! ありがとう、嬉しいよ」
提案を受け入れてくれた事にお礼を言うと、堀北さんはゆっくりと椅子から
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