暁 〜小説投稿サイト〜
ようこそボンゴレ]世。実力至上主義の教室へ
体育祭当日A 〜牙を向く悪意〜
[4/9]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


 

「……ふっ」

 

 AD連合が後ろに倒れてしまうと、龍園君がニヤリと笑う。

 

 現在、綱の中心に付けられた白旗は若干こちら側に寄っている状態だ。しかし、今の俺達は倒れているから綱には全く力がかかってない状態。

 

「よし、今だぞお前ら。全力でひっぱれ」

 

 龍園君のその一言で、Cクラスは再び綱を掴み引っ張り始める。こちらは誰も綱を引いていないので、いとも簡単に白旗がBC連合に近づいていく。

 

「くそっ! させねぇよ!」

 

 急いで立ち上がったAD連合も綱を掴んで引っ張り始める。

 だが、すでに白旗は白組の陣地に侵入してしまっていた。

 

 ??ピイッ!

 

「白組の勝利!」

 

 結局、綱引きは白組の勝利に終わってしまった。

 

「おい龍園! なんだあのやり方! ふざけてるのか!?」

「はぁ? ふざけてなんかねぇよ?」

「いきなり力を抜くとか、相手が怪我する可能性もあるし、負ける可能性だってあるだろ!」

「実際には勝っただろ。なんの問題もない」

「ぐっ……」

 

 今のCクラスの動きには仲間のBクラスも憤ったのか、試合終了後すぐに1人の男子が龍園君に文句を言いだした。

 

「くそ、くそが!」

 

 俺の後ろでは、須藤君が地面を何度も強く踏みつけている。

 またも龍園君の卑怯な策略に憤慨しているんだろう。

 

 そんな須藤君に、葛城君が近づいて行く。

 

「やめるんだ須藤。向こうのやり方は褒められたものではないが、ルール違反ではない」

 

 確かに、綱引きのルールに「力を緩めてはいけない」とか「綱を離してはいけない」という項目はない。

 

「でもよ!」

「お前が憤慨するのも龍園の作戦の内かもしれないぞ。お前の体力を削ろうとしてるのかもしれないだろ」

「……ちっ!」

 

 葛城君のおかげで、須藤君はテントへと帰っていった。

 

 俺もテントに帰りながら、葛城君にお礼を言っておく事にした。

 

「葛城君、須藤君を止めてくれてありがとうね」

「気にするな。俺達は団体戦で殆ど役に立てていないからな。……それより、背中は大丈夫か?」

 

 棒倒しでの事を気にしてくれているのか、葛城君は心配そうに俺の顔を覗き込んだ。

 

「うん、全然平気だよ」

「そうか。沢田は心も体も強いんだな」

「あはは、そうだといいな」

 

 顔に笑顔を貼り付けながら、頭の中では龍園君の策略について考えを巡らせていた。

 

 
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ