体育祭準備A
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田が凄いんだよ」
須藤君の賛辞にも喜ばない綾小路君。
まるで、こんなの出来て当たり前だと言うように……
最近気にしてなかったけど、やっぱり綾小路君は本来の実力を隠してるんだ。
(どうして隠すのかは分からないけど、本気を出した綾小路君はどんな感じなんだろう)
またも1人の世界に入り込んでいると、須藤君が俺達の後方を見てため息を吐いた。
「……ハァ。全然息があってねぇなあの2人」
「……そう、みたいだね」
平田君も心配そうに見つめている。
2人の視線は、さっき俺達が走っていた方向を向いている。
そして、その先にいるのは……堀北さんと小野寺さんのペアだ。
どうも、堀北さんのスピードに小野寺さんが付いて行けていないようだ。
なんとかゴールした2人だが、険悪な雰囲気が2人の間に漂っている。
「ちょっと堀北さん! 早すぎるんだけど!」
「確かにリズムが合っていないわね。でもそれは、あなたが遅いからよ」
「は!?」
「速い方のリズムに合わせるべきでしょう? わざわざタイムを落としたくもないわ」
「……ふん!」
小野寺さんは足に巻いた紐を乱暴に外すと、どこかに行ってしまった。
「……はぁ」
1人になった堀北さんは、グラウンドの外周をランニングし始める。
今もまだ、堀北さんはコミュニケーションは苦手のようだ。
クラスメイトとの関わりを持ち始めたとはいえ、いきなりは難しいか……
「……堀北さん」
走る彼女を見ながら、どうすれば彼女の為になるかを考えるのだった。
?? 数日後。体育祭まであと2日間 ??
あれから数日が過ぎ、9月も半ばに突入した。
競技の練習は順調に進み、1つを残して選手は全て正式に決定されていた。
そして、ラスト一つは二人三脚だ。
なんで決まっていないのかと言えば、堀北さんと小野寺さんのペアがうまくいかないからだった。
何度かペアを変えてみたんだけども、結果は同じだった。結局は堀北さんと小野寺さんがペアになるしかないんだけど、まだ2人の連携ができていないのが問題だ。
(……よし。ここは俺が頑張るぞ!)
男女別の二人三脚が形になってきているので、今日からは男女ペアの二人三脚も練習を始める事になっていた。
ちょうどいい事に、男女の方は俺が堀北さんとペアだからな。
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