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夏休み最後の5日間SS、そのA
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いか結構服が濡れてしまっている。

 いや、よく見ると髪までびっしょりと濡れているみたいだ。

 

「佐倉さん、大丈夫?」

「私は平気だよ。それより沢田くんは?」

「俺も平気」  

 

 屋根のない部分を見ると、雨がどんどんと強くなっているのがわかった。

 

 どういたものかと雨を見つめていると、佐倉さんがハンカチを俺に手渡してきた。

 

「沢田君、よかったら使って」

「俺はいいよ、汚れちゃうし。それより自分で使って。風邪引いちゃうからさ」  

 

 女の子のハンカチを汚すわけにはいかないので断ったのだが、佐倉さんは背伸びして、俺の髪についた水滴を払ってくれた。

 

「佐倉さん、自分を拭く部分がなくなっちゃうよ?」

「いいの。私って意外と頑丈なんだよ」  

 

 結局、俺を拭いた事で佐倉さんのハンカチはびしょびしょになってしまった。

 今日ほどハンカチを持っておけば良かったと思った日はないよ。

 

「すぐ止むかなぁ?」

「通り雨だと思うんだけどなぁ」

「そうだといいね」

「うん……というかごめんね? 君をずぶ濡れにしちゃった」

「ううん。大した用事じゃないから」

「!」

 

 大した用事じゃない。と言う事は、佐倉さんの中で答えは固まったと言う事だろう。

 

「私、山内君に自分の口で言えるかな」

「佐倉さんならできるよ。俺が保証する」

「ふふ、ありがとう」

「うん」

 

 笑ってくれた佐倉さん。

 そして、顔を赤らめながらこんな事を聞いてきた。

 

「……あの、近くで見ていてくれる?」

「返事をしてる所を?」

「うん。沢田君にそばにいてほしいし……見ていて欲しいの」

「……分かった。近くで見守るよ」

 

 それから数分後。雨が上がったので俺達は体育館裏に向かった。

 

 すこし離れた場所から佐倉さんを見送ると、佐倉さんは体育館裏に1人で歩いていく。

 

 体育館裏には、すでに山内君が待機していた。

 

 

 

「さ、佐倉! 手紙、読んでくれたんだな?」

「うん……」

 

 山内君を目の前にした佐倉さんは、一度深く深呼吸をする。

 そして、ゆっくりと口を開いた。

 

「ご、ごめんなさい! 私、山内君の気持ちには答えてあげられないです!」

 

 佐倉さんの勇気を振り絞って出した答えに、山内君は少し悲しそうな顔になってしまう。

 

「そっか……返事くれてありがとうな」

「じ、じゃあこれでっ!」  

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