夏休み最後の5日間SS、その@
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…」
「気にするな。それで、じつは明日が俺達の誕生日なんだよ」
「! そうなんだ。あ、もしかしてその箱?」
「ああ、妹への誕生日プレゼントだ」
妹の為にプレゼントを送るとは、葛城君は優しいなぁ。
「じゃあそれを妹さんに……あれ、どうやって渡すの?」
「……そこなんだ。俺が悩んでいたのは」
この学校は卒業するか退学しない限り、外に自由に出入りする事も外部との連絡を取る事もできない。無論、宅配便もだ。
つまり、妹さんに会う事もプレゼントを送る事もできないわけだ。
(なるほど、プレゼントを送りたいのに送る手段が無くて困っているというわけか)
「……どうしたものかと思ってな。生徒会長にも相談したんだが、やはり規則違反は許されなかった」
この学校、規則は厳しいけど学校にバレなきゃなんでも有りだと思うんだけど。
「……規則違反なんてそこら中で起きてる学校なのに。特に龍園君!」
「ふっ、そうだな。あいつならバレなければ違反行為も普通に出来るんだろうが、俺は慎重でな。そんな危ない橋を渡る事はできんのだ」
「そっか……」
その時、俺達の前を2人組の男女が通った。そのままどこかに行くと思ったのに、なぜか俺達の目の前に止まった。
知り合いかと思って顔を上げると……
「……! 生徒会長と橘先輩」
生徒会長の堀北学先輩と生徒会書記の橘先輩だ。
「……沢田か。もしかして隣の男の相談に乗っていたのか?」
「この男の相談は、生徒会で正式に否認しました。まだ何とかなるとでも?」
生徒会長達の冷たい視線に、思わず葛城君は下を向いてしまう。
「あの、生徒会長。この学校って表沙汰にならないだけで、違反行為を行っている生徒もいますよね?」
「……そうだな。でもそれは、この学校のシステム上致し方ない事だ」
「クラス対抗だから、上を目指す為に仕方ない違反もあると」
「そうだ」
「じゃあ、生徒会長が葛城君の代わりに宅配便を送ったりはできませんか? 生徒会長ならそういう事もできるんじゃ?」
「……確かにできるが、俺がその男の為にリスクを犯す理由がない。何か得があるなら別だがな」
「まぁ……そうですよね」
「それに本当にやり遂げたい事なら、リスクを犯してでも裏道を探そうとするものだ。だが、その男は最初からその選択肢を手放している。つまりその程度と言う事だ」
橘先輩が隣でうんうんと頷いている。
「では失礼する。まだ仕事があるんでな。バスケ部の試
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