船上試験終了後、区切りと決意。
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……と、撮りたいと思ってたよ?」
「! 本当? よかった〜! すごい勘違いしたのかと思った〜」
ほっとした様子の沢田君は、三脚からデジカメを取り外して姉妹校の女子に手渡した。
(……確か、三浦ハルさんだったかな?)
「ハル、ちょっと写真撮ってくれない?」
「は、はひっ!? その子と写るんですか?」
「え? うん、そうだよ」
「……ツナさん、少しお待ちを」
そう言うと、三浦さんは顔を伏せながら私の手を取り、沢田君から少し距離を取った。
そして、顔を伏せたまま三浦さんは口を開いた。
「……佐倉さん」
「は、はい……」
怒られるのかと思った私は、震えた声で返事をする。
「……ツナさんとツーショットなんて、私は許せません……」
「ご、ゴメンなさい。やっぱりや……」
「でも!」
「!」
私の『やっぱりやめます』の言葉を大きめな声で遮る三浦さん。
それからゆっくりと顔をあげると、ニコニコした可愛らしい笑顔を見せた。
「……同じ人に恋する乙女同士。今回は初回限定で許しちゃいます!」
「ふぇっ!? こ、恋って///」
「はい! なので、遠慮なくツーショットを取っちゃってくださいね♪」
「! は、はい!」
話が終わると、三浦さんは私の手を掴んだまま沢田君の元まで戻った。
「お待たせしました! では撮りましょう!」
「ハル、ありがとう。このカメラで頼むよ」
「はいっ!」
三浦さんにデジカメを渡すと、沢田君は私の隣に立った。
「……」
恥ずかしいので思わず少し離れてしまった。
(くっつきたいけど、恥ずかしすぎる///)
隣に並んだ私達に、三浦さんがデジカメを構える。
「はい、いきますよぉ〜! ……一旦ストップです」
「え、なんで?」
三浦さんはなぜかデジカメを下ろしてしまった。
「もう少しくっついて下さい!」
「わかった」
「! 〜///」
さ、さっきよりも近くに沢田君がいる!
「よし! パーペキです! じゃあ撮りますよ〜?」
もう一度デジカメを構える三浦さん。今度は大丈夫なようなので、後はシャッターが降りるまでこのドキドキに耐えるだけ。
(ううう〜早く撮ってぇ///)
自分から望んだくせに、いざとなると逃げ出したくなるなんて。
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