船上試験終了後、区切りと決意。
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かりだ。
別に嫌いじゃないし、気を使わなくていいから自撮りの方が撮影は捗る。
(……でも、やっぱりツーショットで撮りたかったなぁ)
今更な願望を心の中で吐露しつつ、沢田君とその周りを囲む人達を見る。
「沢田君、写真って後からもらえるの?」
「うん、現像して皆に配るよ」
「分かった、楽しみにしてる♪」
すごいなぁ。
どうして沢田君の周りにはあんなに人が集まるんだろう。
(……そんなの、沢田君が魅力的な人だからだよね)
今は自分にも優しくしてくれる沢田君だけど、あんなに友達がいたら、いつか私の事なんて見向きもしなくなっちゃうかなぁ。
そんな事を考えてしまう自分がすごく嫌で、自己嫌悪に陥ってしまう。
やがてほとんどのメンバーが歌劇場から離れ、後は姉妹校の人達だけになった。
(……私も客室に帰ろう)
ここにいても気まずいので、客室に向かって歩き出そうとした……その瞬間。
「佐倉さん!」
「……え?」
いつの間にか沢田君に腕を掴まれていた。
(っ〜///)
「な、何? どうしたの沢田君?」
顔を赤くしながら聞き返すと、沢田君は想像もしてなかった発言をする。
「あの、まだ約束果たしてなかったよね?」
「……え?」
一緒に写真に写るという約束ならさっき果たしてくれた。
なのに、どうして沢田君はそんな事を言うのだろう。
「し、写真ならさっき撮ったよ?」
「え?」
「え?」
私のその言葉に、沢田君はポカンとした顔になる。
「あれ? 一緒に写真を撮るって約束したよね?」
「う、うん。でも写真ならさっき撮ったよ?」
「ごめん。一緒にって、2人で撮ろうって意味じゃないの?」
「……ふぇ!?」
「……」
今度はこっちがポカンとしてしまい、しばらく何も言えずにいると沢田君が急に顔を赤くした。
「ご、ごめんっ! 2人で写真を撮るって約束かと思ってた! 変な勘違いしてごめんっ///」
顔を真っ赤にしながら頭を下げる沢田君。
(……さ、沢田君もツーショット撮る気でいてくれたんだ///)
これは嬉しい誤算だ。
でも、このままじや約束がなかった事になるかもしれない。
……そんなのは嫌だよ。勇気を出すのよ、愛里!
「あ、あの。私も2人で
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