船上試験、最終日昼。
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…11時に歌劇場裏に来てくれますか? 歌劇場裏に沢田君を呼び出して眠らせますので」
「わかった。11時な」
話が終わると、タイミングよく店員が料理を運んできた。
「いただきま〜す!」
「……いただきます」
2人で頼んだ朝食を食べ始める。
「……」
「……」
元々騒がしいのが好きな俺は、無言の時間を作らない様に適当な話題を王ちゃんに振ることにした。
「明日で試験も終わりだな」
「……ええ」
「王ちゃんのグループはどう? 勝てそう?」
「……どうですかね」
「あ、そういえば。王ちゃんは小狼様と同じグループだったな。それだと勝つわけにもいかねぇか〜」
「……ええ」
元々暗い顔になっていたが王ちゃんだが、小狼の話題になるといっそう表情が暗くなった。
「優待者を見つけたら、小狼様に報告しろよ? いいアピールになるぜ」
「……優待者」
優待者のワードが出た途端、王ちゃんが動きを止めた。その姿を見て、俺はありえないとは思いつつもとある推測を立てた。
「あれ? 何その反応。もしかして自分が優待者なのにまだ報告してないの?」
「!」
「……え? まじで?」
王ちゃんの過剰な反応。俺は自分の推測が正しかったのだと思った。
(……まじかよ、優待者が分かってんのに主人に教えねぇとか……いや待てよ? これって俺を売り込むチャンスなんじゃね?)
優待者の正体を自分から小狼に伝えれば、知っておきながら報告していなかった王ちゃんの印象は悪くなる。そうすれば、反対に自分の印象が良くなるんじゃね?
「……」
だが小狼へ報告をするには、確実な答えでないといけない。もし間違いであれば報告した俺のミスになってしまう。
そうならない様に確実な証拠を掴む為、俺はぎこちない笑顔で王ちゃんに話かけた。
「な、なぁ王ちゃん。お前が巳グループの優待者なの?」
「……(こくり)」
数秒間反応がなかった。が、やがて観念したのかゆっくりと頷いた。
「……なんで小狼様に報告しないの?」
「……」
「言った方が王ちゃんの評価も上がると思うぜ?」
あくまで優しい言葉を選ぶ。でもそれは優しさじゃない。自分が小狼に王ちゃんが優待者である事をばらしたりしないと思わせる為の作戦だ。
「……そう、ですよね」
「! あ、ああ! あ、でもさぁ? 優待者だって信じてもらう為には証拠が必要だよなぁ?
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