船上試験、最終日昼。
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地下施設から出る前になぜか俺に振り返った。
「……小狼」
「な、なんだ」
「……」
「っ!」
沢田の鋭い眼光が俺の動きを止める。
「……もう美雨に関わるな。彼女はもうschiavo Giapponeじゃない。次に美雨に何かしようとしたら……俺が許さないからな」
「……」
そして、美雨を抱えたまま沢田は消えていった……
「……くそぉぉぉ」
俺しかいない地下施設には、俺の情けない声だけが響く。
(……どうして、沢田は生きてるんだ? それに、どうやって美雨の両親を救い出した?)
疑問ばかり出て来て、解決策は一つも思い浮かばない。
(美雨の奴も、捨て忌み子の分際で俺を裏切りやがって! あいつら2人は絶対に殺す! この俺が殺す!)
段々と美雨への怒りが沸き上がり、その怒りを糧にあいつらへの報復をどうするかを考えていると、山内からの報告の事を思い出した。
『小狼様の巳グループなんですけど、優待者を突き止めたんです。俺が!』
(……そうだな。俺には一つだけすぐに沢田と裏切り者の美雨に報復できる方法があるんだった)
俺は立ち上がると、地下施設から出て一階への階段に出た。
そして、階段を登りながら学生証端末を取り出してメールを打ち込み始める。
TO 高度育成高等学校
優待者を告発します。
巳グループの優待者は『王美雨』です
from 王小狼
「……ククク」
メールを送信し終えた俺は、太陽の下で1人不気味に笑う。
そして、メール受信音が鳴り響いた。
??ピロン。
受信メールを確認すると、それは巳グループの試験終了を知らせるメールだった。
TO 王小狼
巳グループの試験は終了致しました。
以降、巳グループの方は試験に参加する必要はありません。
from 高度育成高等学校
「ククク……」
内容を確認した俺は、自分の客室へと向かったのだった……
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