船上試験、休養日。
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られないよ。代わりに、軽井沢さんと真鍋さん達が仲直りできる様に間を取り持つ事を提案したんだ」
「うん」
「でも、その為には軽井沢さんも歩み寄らないといけない。リカさんに謝る事も必要になると思うんだけど、それだけは絶対に嫌だって拒否されたんだ」
謝ってしまったら、今の自分の立場が崩れると思ったのかもしれない。
軽井沢さんからしたら、せったく抜け出したのにまた戻るなんて事絶対したくないだろうからな。
……でも、軽井沢さんがぶつかったのに謝らなかったのが事実なら、そこは謝るべきだと思うけど。
「……それでね、僕は彼女の手を離してしまったんだよ」
「? 手を?」
「ああ。『それなら、僕にできる事は残念だけど何もないよ』ってね」
「……そっか」
「そしたら、軽井沢さんは激昂してしまってね。『私の事を守らないなら、あんたなんて必要ない!』って言って去って行ったよ」
「……」
なるほど。自分を守ってくれる人から手を離されて、激昂してしまったのか。
……これは、難しい問題だなぁ。
ここで、綾小路君も口を開いた。
「……強い相手への寄生。軽井沢はそうやって自分の身を守っているんだな」
「……ずいぶんストレートに言うんだね。まぁでも、軽井沢さんも自分の事を寄生虫だって自虐していたよ。……残念だけど、僕では軽井沢さんを守り切る事が出来ないって事かな」
「……ちょっと待ってよ」
『?』
2人の言い様に納得が出来ず、思わず険しい顔で口を挟んでしまった。
「……寄生虫なんかじゃないよ、軽井沢さんは」
「……ごめん。そうだよね。こんな言い方は酷いよね」
「そうじゃない。言い方の問題じゃないよ」
俺の言ってる事が理解できないのか、平田君は首を傾げている。
「……平田君は、軽井沢さんに頼られる事を迷惑に感じてたの?」
「! いや、僕は本心から彼女を守りたいって思っていたし、今も思ってるよ」
よかった。平田君は本心から誰かの助けになりたいと思ってる人だと思っていた俺の考えは間違いではなかった。
……でもそれなら、なおさらさっきの言い方は良くないよ。
「でしょ? って事は、2人はお互いに納得の上でそういう関係になってたんだよ。それなら、寄生虫とは言わないよ」
「……だが、軽井沢が平田に寄りかかってるのは事実だろう?」
俺の考えに綾小路君が異議を立ててきた。
「まぁね。でも、人間は1人では生きていけない。誰しもが誰かの助けになっていて、誰かに迷惑
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