船上試験、2日目夜。
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いましょうかね」
「え? 単語?」
「はい。私に関する単語です」
「うんうん」
ひよりちゃんはゆっくりと、一回だけその単語を口にした。
「……ブックマン」
「……? 何それ?」
意味が分からずに聞き返すと、ひよりちゃんはにニコっと笑って客室方面に振り返った。
「ヒントはこれだけです。じゃあ、おやすみなさい。みーちゃんの事お願いしますね」
「ええ……うん。おやすみ」
そう言うと、ひよりちゃんは客室方面へと歩いて行った。
(……ブックマン、って何なんだろ。本の人?)
分かるはずもないのに一生懸命に単語の意味を考えていると、京子ちゃんとハルがやって来た。
「ツナ君、お待たせ」
「ハル、参上です!」
2人が来たので、ヒントの事は一旦忘れてみーちゃんの事に集中する。
「ありがとう2人とも。そこのベンチに寝かせている子なんだけど、気を失っているだけか診てほしいんだ」
「あの子ですね? すぐに診ます!」
「うんっ」
京子ちゃんとハルはベンチに行くと、意識のないみーちゃんを診察し始めた。
診察はすぐに終わり、2人は笑ってこっちを見た。
「大丈夫。気を失ってるだけだから、もうすぐ目を覚ますよ」
「そっかぁ、よかった」
「ねぇ、ツナさん。この子に何かしました?」
急なハルの質問に、俺は慌てて首を横に振る。
「え? いや、俺が気絶させたわけではないよ?」
「あ、疑ってないですよ? ただ、この子の心の中が暖かな光に満ちているので、ツナさんが何かしてあげたんじゃないかな〜って!」
「何だよそれ?」
ハルの言ってる事が理解できないでいると、京子ちゃんが補足してくれた。
「ハルちゃんはね、人の心の情景を読み取る事ができるんだよ」
「え? 本当に?」
「はい! こむぎのリングを付けている時だけですけどね!」
ハルが指にはめたアニマルリングを見せてくる。
どうやら、ハルのリングにはそんな特殊な効果があるようだ。
「……暖かな光か。安心してるって事かな?」
「うん、きっとそうだよ♪」
「はい! 今頃幸せな夢でも見てると思いますよ!」
その時、なんとなくみーちゃんの目から涙がこぼれた様な気がした。
「どうする? この子の部屋まで運ぶ?」
「ううん。起きるまでここで待ってるよ」
「そっか、わかった。じゃあ私達は部屋に戻ろうか?」
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