船上試験、2日目夜。
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です」
「……そっか」
ひよりちゃんは話を終えると、振り返ってどこかに立ち去ろうとし始めた。
「……じゃあ、後はお願いしますね」
「え? 行っちゃうの?」
「はい、ツナ君がいれば安心でしょうし。それに少しやる事があるもので」
「そっかぁ。わかった」
「はい。失礼しますね」
「あ、待って!」
歩き始めるひよりちゃんに、俺はもう一度だけ声をかけて立ち止まらせた。
「はい?」
「君が何者かは……まだ教えてもらえない?」
「……ん〜」
ひよりちゃんは少し考え込んで、大きく頷いた。
「そうですね。まだ、みーちゃんが完全に自由になった訳じゃないですし」
「……小狼君と山内君の事?」
「はい」
確かに。その2人がみーちゃんを使う事を諦めないかぎり、本当にみーちゃんを救った事にはならないか。
俺が納得したのを見て、ひよりちゃんは再び歩き始めた。
「……」
しかし。数歩歩いた所で、なぜか今度はひよりちゃん自ら足を止めた。
「……ひよりちゃん?」
「……かわいそうなので、ヒントをあげようかなと思います」
「かわいそうって……まぁ欲しいけど」
「ふふ、ヒントを2つ教えてあげます」
そしてこちらに振り返ると、ひよりちゃんはヒントを教えてくれた。
「実は私、両親が再婚してるので実母と義父との3人家族なんです」
「へぇ、そうなんだ」
「椎名というのは義父の姓です」
「うんうん」
「母が再婚したのが小4の時で、それまでは中国で母子2人で生活してました」
「! ひよりちゃんも中国にいた事あるの?」
「ええ。母も日本人なんですけど、海外暮らしをしてみたかったらしくて小学3年までは中国で暮らしてました」
「そっか。……あ、じゃあもしかして?」
とある予想を立てて聞いてみると、ひよりちゃんは大きく頷いた。
「はい。みーちゃんとも仲良しのお友達でした。母が再婚して、日本に渡るまで」
「じゃあ高校で再会したんだね」
「そうなんです」
なるほど、だから親友なのか。
「……で、なんですけど。再婚する前は、会ったことのない実父の姓を使ってたんです」
「うん」
「実父の姓は川平、といいます」
「へぇ〜、川平かぁ」
(……ん? 川平? いや、まさかねぇ)
「これが1つ目のヒント。もう1つは……」
「うん……」
「もう一つは……単語で言
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