船上試験、1日目夜。
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「わかった。……そのセリフ、似合ってないぞ」
「……知ってた」
綾小路君もいなくなると、俺も立ち上がって夜風に当たりながら物思いに更ける。
(……Cクラスは3人の優待者を把握した。それに対し、Dクラスは2名しか把握していない。優待者の法則性の解明に近いのは、間違いなくCクラスだ)
(ならば、Cクラスの優待者の情報を知ることが出来れば俺達の方が優位になる。……ここはあの子達の力を借りるのが一番早くて確実だな)
考えが纏まり、客室に戻ろうとすると……
(わ、周りカップルだらけじゃん!? き、気まずい……)
いつの間にか、周りがカップルだらけになっていた。
気まずいので小走りで客室廊下に向かって行った。
そして廊下に入ると……
「! あれ? ツナ君?」
「あ、桔梗ちゃん!」
桔梗ちゃんが1人で、廊下の窓から夜空を見上げていた。
「ツナ君、1人?」
「うん、今から客室に帰るとこ」
「そうなんだ。私はデッキで夜空を見ようと思ったんだけど、カップルだらけで気まずいから廊下に逃げて来たんだぁ」
「ああ、確かに1人だと気まずいよねぇ」
「うん。私ももう客室に帰ろうかな」
「じゃあ、途中まで一緒に行く?」
「うんっ♪」
俺は桔梗ちゃんと一緒に廊下を進み始めた。
歩きながらたわいも無い話をした。
話をしているとあっと言う間で、先に桔梗ちゃんの客室にたどり着いた。
「あ、私ここだ」
「そっか。じゃあおやすみ、桔梗ちゃん」
「うん。おやすみなさい、ツナ君♪」
おやすみの挨拶を済ませ、桔梗ちゃんに背を向けて歩き出そうとすると……
「待って!」
「! 桔梗ちゃん!?」
いきなり桔梗ちゃんが背中に抱きついて来た!
「えっ!? き、桔梗ちゃん!? どうしたの!?」
「え? ! あっ、ごめんなさい! 急に抱きついたりして!」
桔梗ちゃんは顔を赤くして俺から離れた。
(び、びっくりしたぁ〜。まだドキドキしてるよ……)
「ご、ごめんね? さっきカップルだらけの所にいたから、寂しくなっちゃったのかな」
「そ、そうなんだ? 俺は全然気にしてないし、大丈夫だよ?」
「……そっか、じゃあ今度こそおやすみ、ツナ君」
桔梗ちゃんはそう言って自分の客室に入って行った。
「……」
俺は廊下を再び歩き始めた。
(
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