船上試験、1日目夜。
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」
「……今の姓も王だよね? 親戚か何かなの?」
「そうです。今の私の父親は、本当の母親のイトコに当たります。今の両親は本家の人間で、本家なのに子供がいない事に悩んでいたらしいです」
「……本家に子供がいないから、分家から子供を養子として引き取ったって事?」
(本家と分家の違いとか色々とあるんだろうけど、それでも分家から子供を奪うなんて事するのかな?)
なんとなく感じた俺の疑問に、王さんは首を横に振って答えた。
「そんな単純な話ではないんです。……沢田君は、忌み子と呼ばれる者を知ってます?」
「……一応は」
忌み子とは、望まれずに生まれた子供、もしくは呪われた子の事だ。
昔の日本では、双子の事を忌み子と読んで差別していた事もあるらしい。
「……中国でも、双子は忌み子とされてたの?」
「はい。現代では消え去った古い悪習なんだけど、中国には今だに双子を忌み子と呼ぶ人達も多いんです。そして、王一族はそんな古い考えを今でも持っている一族の筆頭。……王一族は中国でも歴史の長い一族ですから、仕方ないのかもしれませんが……」
王さんは悲しそうな顔になるが、もう一口オレンジジュースを飲んで落ち着いてから話を続ける。
「……沢田君、中国に最近まであった政策はご存知ですか?」
「政策? ……あ、一人っ子政策の事? ……でも、双子は特例で認められてたんじゃないの?」
「はい。国自体は多胎児を特例として認めてました。……しかし、その特例が当てはまらない者もいるんです」
「え? なんで?」
「……中国では、一族によって独自の法律が決められていたりします。そして私の王一族は、双子を産むことは絶対にしてはならない禁忌と定めていたんです」
「そんな……意味が分からないよ」
俺のその言葉に、王さんは苦笑する。
「ふふ、そうですよね。私も理解できません。でも……それを良しとする古い人間もいるんですよ」
そう言う王さんの顔はとても悲しそうだった。
「それで、忌み子であり一族の禁忌とされる双子を生んだ私の実の両親は……中国からの追放処分を受けました」
「! 追放処分!?」
「はい。王一族は中国の中でもそれなりに影響力のありますから。禁忌を犯した人物を国に置いていては都合が悪いとでも考えたのでしょう」
「……酷い話だね」
「はい……。そして、私の両親は国を去る事になったのですが、そんな両親を助けようとした人達がいました。それが今の両親です」
(! 本家の人なのに、助けようとしてくれたのか)
「今の父親と本
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