船上の試験、始まる。
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の彼氏彼女じゃない。それなのにどうして付き合っている風に装うのかというと……」
「うん」
「軽井沢さんの事を守るためなんだ」
「え、守る? 守るって何から?」
平田君は俺の質問に答える前に紅茶を一口飲んだ。
「……ふぅ。彼女を取り巻く全てから、かな」
「全て……何かあったの?」
「うん。……軽井沢さん、話してもいいよね?」
平田君が軽井沢さんに確認を取ると、軽井沢さんは頷いた。
「いいよ」
「ありがとう。……じゃあ沢田君、信じがたいかもしれないけど聞いてほしい」
「うん……」
「実は軽井沢さんは、小中の9年間に渡ってずっと酷いいじめを受けていたんだ」
「えっ」
俺からの軽井沢さんの印象は、勝気で女子のリーダー格という感じだ。
普段の様子からはいじめられっ子だったようにはとても見えない。
しかし、この話に入ってから軽井沢さんの目の光が弱くなっている気がする事もあり、それが事実なんだろう。そんな辛い過去がありながらあんな風に振る舞えるのだから、軽井沢さんは相当強い心を持っているのだろうか。
「……それで、またいじめられないように平田君が守ってるって事?」
「うん。この学校に入学してすぐに、軽井沢さんに頼まれたんだ」
「……そっか」
黙っている軽井沢さんの姿からは、いつものような強気な態度は見えない。
いや、むしろこの姿が軽井沢さん本来の姿って事か。
平田君の彼女となれば、クラス内でも高い地位に上り詰める事ができる。平田君と言うバックがいる事で、強気に振舞えてたってことなんだろうな。
「それでね。沢田君にも……」
??ピロン。
??ピンポンパンポーン。
平田君の話をメール受信音と船内アナウンスが遮った。
『生徒の皆さんに連絡です。先程、全生徒に連絡事項を記載したメールを送信致しました。各自確認次第、その指示に従ってください。尚、メールが届いていない場合はお近くの教師まで申し出てください』
アナウンスの直前に届いたメールを開いてみると、こんな内容が書かれてあった。
TO 沢田綱吉
間もなく特別試験を開始します。
各自指定された部屋に、指定された時間に集合してください。
10分以上の遅刻をした者にはペナルティを科す場合があります。
本日14時40分までに2階201室まで集合してください。
所有時間は20分程度ですので、お手洗いなどは済ませた上
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