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特別試験の全貌〜綾小路side〜
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るかしら? 不愉快だわ」

「ちぇっ、冗談も分かんねぇのか? そんなに硬い堀北には〜おりゃっ!」

『!』

 

 全員が山内に驚愕の視線を向ける。山内が川辺にいる堀北の頭に急に泥を被せたからだ。

 

(まぁ実際には、佐倉の連絡先を対価に俺が山内に頼んだことなんだがな)

 

「……ふんっ!」

「うわぁぁっ!」

 

 泥をかけてきた山内に、堀北が見事な一本背負いを決めた。

 綺麗な弧を描いて川に落ちる山内。

 

 落下地点に大きな岩があったから、それとなくフォローして山内の頭蓋骨の破壊を防いだ。

 

「堀北。やりすぎだろ」

「……これでも制裁が甘いくらいよ。……私は髪を洗いに戻るわ」

 

 そう言って、堀北は泥まみれの髪を洗いに拠点へと帰って行った。

 

『……』

 

 残された俺達の間にはお通夜みたいな空気が流れている。

 そして、この隙に伊吹がこっそりと抜け出すのを確認。

 

「……俺も戻るわ」

「はっ? おい、魚どうすんだよ」

「堀北の様子を見てくるから。後は頼んだ」

 

 文句を言う池達をあしらい、俺は拠点に戻った。

 

 拠点に戻ると、午前中に森を俳諧していた女子達がシャワー室に列を作っている。

 俺の予想通り、堀北はシャワー室を使えなかったようだ。そして伊吹の姿もない。

 

 数十分後。堀北が拠点に帰ってきた。顔色が悪い。体調不良の中冷水で体を洗い、さらに伊吹にカードキーを盗まれているのだから当たり前か。

 

 その姿を確認して、俺は次の段階に進もうとした。

 だが、その必要がなくなったらしい。

 

「どこにもいないよ!?」

「え。まじ?」

 

 女子達が伊吹が消えたと騒いでいるのだ。

 

(ぼや騒ぎを起こして抜け出しやすい状況を作ってやるつもりだったが、強硬手段に出たか。まぁいい。それなら最終段階に移るだけだ)

 

 俺は堀北に話しかけようと、先程まで堀北がいた場所に目を向けるが……堀北の姿はもうなかった。

 

(……伊吹を追いかけたようだな)

 

 そう気づいた俺は森の中に向かって走り始めたのだが、それと同時に雨も降り始めた。

 

 急ごう。目的地は伊吹と最初に遭遇した場所だ。

 

 

 ??しかし。堀北はそこにもいなかった。

 周辺を探してみても、堀北の姿は見えなかった。

 カードキーだけが無造作に地面に投げられている。

 

(……どこに行ったんだ? 雨も降り出したし、体調もそろそろ限界のはずだ
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