特別試験、3日目。
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?? 3日目、正午。 浜辺付近 ??
佐倉さんと俺のペアは、拠点から浜辺までの道で食糧を探す担当らしい。
「……はぁ、とんだバカンスだよね」
「あはは、うん。全然バカンス感はないよね」
「……せめてデジカメがあったらなぁ……」
佐倉さんが両手の親指と人差し指をカメラの様に俺に向けて構えながらそう言った。
「風景写真も撮るんだね」
「え!? あ、うん。風景写真も撮るよ。あははは……」
「?」
佐倉さんがなぜか悲しそうなので、俺は元気付けてあげたくなった。
「この試験の後は、島の反対側の遊園地に行って、その後はまた客船でバカンスらしいから。その時に一杯思い出の写真を撮ろうよ」
「! ……そうだよね、うん。まだチャンスはあるよね」
「そうだよ、まだまだバカンスは続くんだからさ。元気出して行こう!」
「う、うん! ……あの、沢田君?」
「ん?」
「……その時は、一緒に写真に写ってくれる?」
「うん。もちろんだよ」
「っ! あ、ありがとう!」
佐倉さんに笑顔が戻った。元気も出た様なので、その勢いのままズンズンと進んでいく。
やがて、俺達は昨日まではCクラスがバカンスを満喫していた浜辺に出た。
〜 浜辺 〜
昨日見た喧騒がまるで嘘かの様に、Cクラスのいない浜辺は静かだった。
浜辺に放置された備品だけが、昨日見たものが現実だと教えてくれる。
「……誰もいないね。備品は残ってるけど……ここってCクラスの拠点だったんじゃないの?」
「うん、でも誰もいないって事は……Cクラスは全員リタイアしたのかもしれない」
「ええっ!? な、なんでぇ?」
「……リタイアすれば船に戻れるからね、この試験が嫌になったんじゃない?」
「そ、そんな事をするクラスがあるなんて……」
目を見開きながら片手で口を押さえる佐倉さん。
まぁ、試験から逃げるクラスがあるなんてびっくりするよねぇ。
実際には試験に挑む気満々なんだけども。
2人で浜辺を見渡していると、後ろから誰かに声をかけられた。
「あれ? 沢田君だ!」
「……隣の女子は、佐倉だったか?」
「あ、一ノ瀬さんと神崎君」
声をかけてきたのはBクラスのリーダー格。一ノ瀬さんと神崎君だった。
「うわぁ……本当にいなくなってるねぇ。Cクラスが全員リタイアしたって情報を手に入れたから来てみたけど」
「……お前達も偵察か? 沢田」
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