第四章
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「そうなんだな」
「そうだ。実は俺もモノリスのことはよく知らない」
「知らないって始さん」
上條はそれを聞いて声をあげた。
「始さんも知らないんですか」
「そもそも俺は自分がどうして生まれたのかさえ知らない」
「そんな・・・・・・」
「いや」
しかしここで橘が二人の間に入るように述べてきた。
「そういえばそうだ」
「俺はかつては闘争本能だけで生きていた。しかし今思う。どうして俺は生まれたのか、俺を生み出したのは何か」
「闘争本能しかないジョーカーを生み出した存在」
「それは一体何だ?」
上條と橘も相川と共に思案に入った。
「答えでまず考えられるのは」
「モノリスだ」
腕を組んだままの橘に相川自身が答えた。
「そしてモノリスを司る」
「何者かが」
「それはいるとしたら一体誰ですか?」
上條は橘と相川に問う。
「何なんでしょう」
「神、か」
橘はふと呟いた。
「だとしたら悪意ある神だ。残れば全てを滅ぼすジョーカーをあえて作り出してバトルファイトに参加させたのだからな」
「そもそもだ。どうしてバトルファイトがはじまった?」
橘はジョーカーを作り出した理由を、相川はバトルファイトのはじまりについてそれぞれ考える。そこもまた大きな謎であった。立ち止まって考えるとバトルファイトにもジョーカーという存在にもそのはじまりが一切明かされていないのだ。
立ち止まってみれば謎が多く転がっていた。しかし彼等はそこに何かを解く鍵があるのではないのかとも考えだしていた。謎そのものに。
「モノリスだ」
相川は言った。
「そもそもあれに謎がある」
「そうだな」
橘もそれに頷く。
「始、モノリスが何処にあるのかわかるか」
「いや・・・・・・だが」
彼は言う。
「近くにいる。だから俺達も」
「よし、動くぞ」
橘がそれに頷く。
「いいな、睦月」
「わかりました。それじゃあ」
「剣崎の分まで。謎を解いてやる」
相川は人間の顔で言った。今語る彼の心は完全に人間のものになってきていた。
剣崎は日本に着いた。ふらふらと街の中を歩いていた。
「俺は本当に皆と会っていいのか」
彼は迷っていた。自分の緑の血を知っている。だからこそ相川や橘との再会を恐れていたのだ。どうするべきかを。
会いたかった。だが会えなかった。会えばどうなってしまうのか。それへの恐怖が彼を彷徨わせていたのであった。
夜の闇の街を一人歩く。その中で彼はあまり柄のよくない男達とすれ違った。
「よお」
彼等はすぐに剣崎を取り囲んできた。
「金貸してくれよ。いいかな」
「金はない」
剣崎は俯いてそう答える。
「今の俺には何も」
「何か頭おかしいのか?」
「何だ、こいつ」
「よさないか」
そこ
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