第35話 剛毅なる者
[3/4]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
た。
「彼らに加勢した場合、この地の大守に要らぬ恨みを買うことになります。ここは静観するのが上策です。麗羽殿。気持ちも分ります。ですが、ここは押さえてください」
揚羽は淡々と麗羽に言い、私の方を見ました。
私にも彼らを見捨てることに同意しろということでしょう。
揚羽には悪いですが、私には彼らを見捨てることはできないです。
権力者ならば見捨てたかもしれないです。
彼らは人を助け出す為に命懸けの行動を取っています。
ここで見捨てたら後悔すると思います。
しかし、彼らを助ければ、父上と袁逢殿に迷惑が掛かることになります。
無位無官の身の私が大守を糾弾する伝手と言えば、父上達を頼るしかありません。
その上、大守の軍とはいえ、官軍と事を構えれば面倒なことになります。
力の無い自分が呪わしいです。
助けたくとも自分の力では何もできない。
他人の力を頼らなければいけない自分が惨めです。
幾ら大勢の賊を打ち倒す力があっても、権力の前では腕力など意味がないです。
私は自分の力の無さを痛感しました。
それでも彼らを見捨てることはできないです。
私は目を瞑り深呼吸を一度して、目を開けました。
「彼らを助けようと思う」
私は迷い無く揚羽を見て言いました。
「えーーーーーー!アニキ。止めようよ。絶対に面倒なことに成るに決まってる」
猪々子は面倒臭そうに言いました。
「正宗様。この郡の大守が不正をしているのであれば、この旅が終わってからでも遅くないと思います。短慮に成られてはいけません」
揚羽は私の前に進み出て、厳しい目で私を見据えています。
「揚羽。悪いが私には彼らを見捨てることはできない。そこを通してくれ」
「できません。正宗様の身の安全を守る為ならば、諫言程度幾らでもします!」
揚羽は退くつもりはないようです。
「この地の大守と事を構える必要があるなら、喜んで受けて立つつもりだ。この程度のことで、怯んでいて私の夢を実現できると思うか?」
私は揚羽に負けじと彼女の目を見据えました。
私と揚羽はしばしの間睨み合いをしました。
「はぁ・・・・・・。分りました。言うだけ無駄のようですね。正宗様。彼らを助け出す前に、この件を文にしたためてください。宛先は正宗様のお義父様と麗羽殿の叔父様にです。今の正宗様ではどうにもならないです。その後は、急いでエン州を抜けます。文を届けるのは斗詩と猪々子に任せましょう。斗詩と猪々子は仮にも袁家に仕えています。仮に大守側の人間に捕まっても酷い目に遭うことはないでしょう」
揚羽は嘆息し、彼らを助け出したら父上と袁逢殿に文を出す様に言いまいた。
父上と袁逢殿には申し訳ないで
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ