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ヤザン・リガミリティア
雷獣再臨
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、そういう嫌な気配は艦隊あそこからするけれど』

 

『ウッソはどうか』

 

ヤザンが部下の少年に問う間にも敵艦隊の光源が近づいてくる。

暗闇の宇宙であるからその光点との距離を目視で測ろうというのは少々無茶があるが、ヤザンは経験と、そして圧倒的な原始的感覚ワイルドセンスで接敵が近い事を嗅ぎ取って、マシーンが告げるよりも早く敵との相対距離を掴んでいた。

開戦は近い。

 

『…何か、大きな…圧力のようなものが、あそこを覆っていて…シャクティを掻き消してしまっている…。

ヤザンさん、この気配…あの鈴の音≠ゥもしれません』

 

ウッソは不安気にそう言ったが、ヤザンは年若い部下の不安を吹き飛ばすようにニヒルに笑う。

 

『ククク、まぁいいさ。どの道そんなもんに頼り過ぎるのも逆に毒になる!

まやかしに囚われ過ぎるなよ!頼るのは己のセンスだ!

ニュータイプは自分のスキルの一つに過ぎんという事を肝に銘じておけ』

 

結局は、野獣にとってのニュータイプ能力への評価はそこへ落ち着く。

ヤザンにとってニュータイプは人と心を通わす人類種の革新ではない。

ただ、空間認識能力が他人より優れ、故に人の気配を遠方だろうと鋼鉄の装甲越しだろうと感じ取る才能に過ぎず ――それはMS戦においては非常に重要なアドバンテージだが―― それはヤザンからすれば手先が器用とか、筋肉が付きやすいとか、そういう人間の個性の範疇でしかなかった。

 

(最後にモノを言うのは、自分の才能と経験の複合をどれだけ磨き抜いたか、だ)

 

そう思うから、ヤザンはニュータイプや強化人間を恐れはしないし拘りも持たない。

が、当然相応の警戒心は抱きはする。

 

『ウッソが鈴の音≠フ気配を感じ取ったかもしれんという事は、向こうも気付いたという事だ。

砲撃に気を付けろ!』

 

警戒心と共に、ヤザンの闘争心のギアも一段上がる。

 

『どの艦にシャクティとクロノクルがいるのかが分からん!

当初の予定通り戦艦の脚を殺す!

俺がまずは仕掛ける。後に続け!』

 

『はい!』

 

『了解!』

 

再度、ゲンガオゾのブースターが唸って速度を上げる。

レーダーに映る高速の異物として、ベスパもヤザン達を認識しているはずだ。

警戒度が跳ね上がったその証拠に、急速にミノフスキー濃度が上昇していく。

鈴の音≠フ感知能力ならばレーダーより早くこちらを捉えてキャノンの迎撃の一発二発でも放ちそうなものだが、それが無い事に多少の違和感を感じつつもヤザンはMSを駆け続ける。

 

(…砲撃が来ない?鈴の
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