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ヤザン・リガミリティア
雷獣再臨
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感情がちらついて悪い気はしない。

なるほどと思わされて、そのまま飛ぶこと数秒。

確かに未だに敵艦隊の動きは鈍い。

 

『ミノフスキー粒子はまだ戦闘濃度になっていない。

敵が気付く頃にはこちらは奴らの懐の中って事…。

成程ね…ミノフスキー・ドライブの使い方ってこういうものなのね』

 

本来は外宇宙への人類の進出の為の技術だが、ミノフスキー・ドライブの速度と航続性能による少数精鋭での無補給・高速の重要拠点本陣切り込みは確かにドライブの真骨頂と言えた。

その戦略の恐ろしさは、地上でゾロによって証明されている事であり、V2達はそれを宇宙で展開できるという事だ。

半素人の域のカテジナも納得の戦略的怪物MSであった。

ドライブの超高速でも、ミノフスキー粒子を撒かずに接近すればレーダーがこちらを捉えるだろうが、その正体を掴むのに数瞬でも迷いが生じてくれれば、それは戦場では大きなアドバンテージとなる。

速度を落とした今でもヤザン隊は充分に速く、もう間もなく敵味方の火器は火を吹くという段階であったが、しかしわざわざ速度を落としたのは、本格的にやり合う前に二人の若い部下に聞いておきたい事もあったからだった。

 

『ウッソ、カテジナ、ミューラが言うにはお前達にはニュータイプの素質があるそうだ。

俺はあんなまやかし信じちゃいないが、勘の鋭さって奴はあの手の人種の得意技なのも確かだ。

シャクティやクロノクルが、どの艦に乗っているか分かるか』

 

ヤザンの急な問いかけに、えっ、と小さく呟いてからカテジナが答える。

 

『私は…感じられない。

第一、見つけたい相手を感じ取れる力なんて、そんなのおとぎ話だわ』

 

カテジナは、ヤザンの期待に応えられない事を残念がったようでテンションを下げたトーンでそう言ったが、彼女も寝た男ヤザンの影響を受けてか、先の戦いでセント・ジョセフ・シティの多くの市民の死を感じ取ったにも関わらずニュータイプというモノに対して懐疑的だ。

だが、己は信じていない割にヤザンはそれを他者に対してまで強要はしないし、寧ろ視野を広く持って使えるものは何でも使えと…そう彼が思うのはベテラン兵士であり教官役を多くこなしたからかもしれないし、幾人かのニュータイプと接した過去の経験から彼自身の思考を柔軟にしたようでもあった。

それに、グリプス戦役時代と違い、U.C.0153年現代はニュータイプというものが科学的にある程度解明されていて、オカルト的なものがやや薄れていたのも一役買っていただろう。

 

『そう邪険にする事もない。あるってンなら使ってみろ』

 

『……分からないわ。

何だが、ざわざわと胸騒ぎみたいな
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