雷獣再臨
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ノフスキー濃度はクリアで通信は快調だ。
カテジナの声ははっきりとヤザンの耳へと届いた。
『…得体の知れない力を感じる…気に入らん。
だが、それ以外はご機嫌だな』
その言葉は、ある意味で最大級の褒め言葉にも似る。
かつてヤザンのお気に入りだったハンブラビと同じ感想を抱いたこの男は、このMSにハンブラビの匂いを嗅ぎ取ったかもしれない。
だがそんな今の発言をミューラが聞けば、また頭を抱えるだろう。
ヤザンのニュータイプ特性は0。
これはヤザンが冷凍刑に処される前と、そしてホラズムでの最近の検査の両方で証明されている。
だというのに、ヤザンはサイコ・マシンのパワーを感じてみせているという事だ。
人間の奥底の闘争本能とか、獣性とか、ニュータイプ的センスとは違う第六感とか、そういう原始的パワーでサイコミュを肌で感じ取る…ニュータイプの定説を揺らがすような男で、科学者泣かせと言えた。
『昔抱いた女とよりを戻した…そんな感じだぜ。
具合の良いじゃじゃ馬って所か、こいつは』
『……なにそれ。下品な例えね』
『フッハッハハハッ!そうか、そいつァすまんな!』
呆れ半分、嫉妬半分。
カテジナの反応はそんな所だ。
だがヤザンは、MSにさえ嫉妬してみせる少女の可愛らしい悋気をせせら笑いながら機体を更に加速させていた。
ゲンガオゾの肩と胴の付け根辺り…背部の肩甲骨にあたる箇所に増設された下向きの小型変換器オートコンバーターと、改造されたテールスカート裏のメーンスラスターから、推力に変換し損なったメガ粒子が放出されると、それは彗星の尾のように伸びていくが、それはまるで羽虫の羽ばたきの如く不快な振動と明滅を繰り返すものだった。
シャッコーにも背中のメーンスラスターの左右やや上に、やはりゲンガオゾと同じような下向きのオートコンバーターが増設されて、そこから下方に向かって不安定で細切れなメガ粒子が放出される様は、V2の翼状の光とは違い、まるで昆虫の翅≠セ。
上向きのウイングバインダーから伸びるメガ粒子がまるで鳥の翼のようにも見えるV2の羽≠ニは視覚的にもそいつは違って、ザンスカール製特有の機体デザインと、オートコンバーターの翅という組み合わせは、ゲンガオゾとシャッコーをより生物的なマシーンに見せて、2機はまるで蟲の巨人だ。
急拵えのゲンガオゾと、そしてセカンドVの未完成品を積んだシャッコーでは、その不安定さが翅≠ニいう形で顕れているが、だが、その速さは紛れもなくミノフスキー・ドライブそのもの。
3機のドライブ搭載機は快調に宇宙の空にスラスター光を引きながら飛び続ける。
ゲンガオゾとシャッコーの速
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