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ヤザン・リガミリティア
雷獣再臨
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「ああ、そのマニュアルを作ってから倒れるように寝ている。

レオニードが命に別条はないと断言してくれているから大丈夫だ。

………君のお母さんは意識を失う寸前言っていたよ。

シャクティさんを助けろ、だそうだ」

 

言われるまでもない事だと、パイロット達の顔には燃える意思が見えて、特にウッソは力強く頷いた。

 

「あの混乱では敵の艦の数さえ正確には把握できていない。

充分気を付けてくれ。

…彼らを頼んだぞ、ヤザン隊長」

 

オイ・ニュングもこの追撃戦の危険さは理解している。

本来ならGOサインを出すべきではない。

だがシャクティの重要性と、リガ・ミリティアの強大なエースであるウッソの心情も考慮すれば多少の無茶は飲み込むべきだった。

それに、ウッソの手綱を握れる頼れる大人のパイロットがいるという安心感が伯爵にはある。

伯爵とヤザンの視線が交差し、ヤザンが頷く。

 

「よぉし、ヤザン隊出るぞ!」

 

MS隊総隊長の力強い声がデッキに響き、それだけでその場にいたリガ・ミリティアのスタッフ達の心を頼もしさ≠ナ満たすのは、やはりヤザン・ゲーブルは天性の現場指揮官だ。

味方であればこれ以上頼もしい男はいない。

どのような苦境にあっても溌剌とし、不利にあってもへこたれる事なく、しつこく足掻き続けてくれる…そういう男がリーダーだと付いていく部下は安心だったが、敵からすれば最悪のハイエナだ。

どれだけ撃退しようと痛めつけようと、諦める事なく獲物と見定めた敵を襲い続ける獣は、ザンスカールからしたらおぞましい≠ニさえ見える。

ヤザンの声を合図に一斉に動き出した現場で、特に素早い年少のパイロット二人組だが、それより速いヤザンが昇っていくワイヤーガンの半ばでゲンガオゾの装甲に脚を引っ掛けて蹴り上がりコクピットへ転がり込んだ。

ハッチが閉じ、エンジンが唸る。

 

『ゲンガオゾ、出るぞ!メカニックは全員離れろ!』

 

一瞬、ゲンガオゾの三つの複合マルチセンサーが開いて赤光に輝くと、すぐに保護カバーをおろせば薄目から紅蓮の妖光が漏れているようで不気味でさえあるが、その不気味さと恐ろしい目・力・は、パイロット同様に味方である今は心強い限りだ。

ゆっくりと逞しい脚を踏み出し、

 

『セカンドシャッコーはカテジナ・ルースで出る!』

 

『ウッソ、V2ガンダムいきます!』

 

それにV2ガンダムとシャッコーが続く。

主を獣へと換えた雷神が黒い空に舞っていき、それに付き従う2機のMSがスラスターの光を宇宙に描いた。

 

『新型の乗り心地はどう?ヤザン』

 


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