雷獣再臨
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だな…本当に行っちまうのか?
リーンホースは後半日もありゃ出港できる状態にまで持っていけるんだぜ?
俺もぴんしゃんしとるし、艦も一緒の方が色々と作戦の幅は広がるだろ」
つまりは引き止めにやってきたらしいが、今回の作戦がオイ・ニュングの認可済みと知っているからそう強くは出ない。
遠回しのゴメスの心配は有り難いと思えたウッソだが、表情は固く、うんとは言わない。
「すみません、ゴメス艦長。
今回は僕のわがままで…お先に出させてもらいます」
周囲へ山程わがままを言った。
そういう自覚はウッソにはある。
申し訳無さそうな表情を浮かべて、それでも決意の固い瞳は揺るがなかった。
「どっちみち、急ぎだって言うなら私達だけで行く方が速いのだし。
あのバイク戦艦がサイド2ザンスカール本国に着いてしまったら、シャクティを助けるのも、もっと難しくなるわ」
あの騒動と混戦の中でも傷一つ負っていない悪運っぷりを披露したカテジナが、意外にもウッソ寄りの発言をしてやるとウッソは少し驚いたようだが、すぐに嬉しそうな顔となっていた。
「あ、ありがとうございますカテジナさん。
一緒に付いて来てもらってしまって…ほとんど僕のわがままなのに」
「いいのよ。好きな人の為に命を賭けるっていうの…嫌いじゃないし、気持ちは分かるから。
それにあなたって年の割りに分かったような顔して、割りきってみせたりするの…正直気持ち悪かったから、こうやってわがままを見せてくれたのは安心する。
今の君の方が好きよ?ウッソ」
ヤザンがペギーを助けた時などは非難染みた事を言っていたカテジナだが、今はウッソとシャクティという事で自分の愛と無関係なのが彼女に包容力と余裕を与えているらしい。
数時間前まで思う存分、男に愛されていたのも深く関係しているだろう。
長い金髪をかきあげながらく・す・り・と笑ってみせたカテジナの余裕ある顔に、少年がどきりとするのも仕方ない色気がそこにはあった。
今は明確にシャクティへの想いを自覚しているし、そういう異性的な意味での発言で無いと分かっていても、やはり初恋のお姉さんに「好き」等と言われると一瞬胸は高鳴ってしまうのを非難する事は誰にも出来ないだろう。
一瞬どきりとして、しかし「気持ち悪かった」とも言われた事に複雑な顔となったウッソを差し置いて、見送り係のオイ・ニュングが言った。
「全員、ミューラからのマニュアルには目を通したな?」
パイロット達が頷き、ウッソは申し訳無さそうな表情に戻って言う。
「あの…母さんは大丈夫なんですよね?」
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