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ヤザン・リガミリティア
雷獣再臨
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るがいい」

 

ゲトルは冷や汗を一筋垂らしながら頷けば、ファラもにこりと笑った。

 

「この艦には例のテスト機が積んであったろ?」

 

言うファラは、今度はゲトルではなく傍らのキル・タンドンへと向き直っている。

 

「テスト機…?サイコミュ試験機の事ですか?

しかしあれは…サイキッカーの思念波増幅を目的にしたサポート機で、ろくな戦闘力はありませんが」

 

「それでも構わん。

野獣の鼻と、坊やの目を逸らさなきゃ無事に逃げ切れないからねぇ。

私達が大事な積荷を女王陛下にお届けする為にも、切らなきゃならない尻尾は切る…」

 

「…尻尾?」

 

今、言葉を返したのはゲトルだ。

切られる尻尾とは何なのか。

ひょっとして自分の事か。

よからぬ想像がゲトルの脳の片隅に浮かんでは、それを瞬間的に消し去ったが彼の背筋の温度がまた一段下がる。

張り付いたようなファラの笑顔はひたすらにゲトルの高揚を奪い去っていくのだ。

 

「フフ、フ、フフフ…追ってきてくれるんだろう?

逃げる女を追うのは男の役目なんだからさ…フフフフ」

 

「…」

 

クスクスと笑うファラの眼に、まるで自分は映っていないようだとゲトルは思わされて、ゴクリと息を呑む。

ファラは、未だにゲトルを圧倒的に上回る精神的強者だった。

 

 

 

 

 

 



 

――

 

 

 

 

 

 

ホラズムはどこもかしこも突貫作業だらけだ。

機体の修理と改修も…施設の修繕もそうだし、リーンホースJrの瓦礫からの発・掘・と修復もであった。

その間、気が焦るウッソが脱走もせず独断専行をしないで良く待ったのは褒めてやるべきだろう。

そんなウッソはというと、今、ヤザンとカテジナと一緒に、見た目だけはまぁまぁに綺麗になった格納庫に集っていて、この場にはオイ・ニュングもいた。

腕をギプス固定されたロベルト・ゴメス艦長がややふらつきながらリーンホースJrのタラップから降りてくるのも見える。

 

「よぉお前さんがた!

全員無事みたいでホッとしたぜぇ」

 

ゴメスが明るい声で、無事な方の手を振ってヒョコヒョコ近づいてくると、すかさずヤザンが笑って言った。

 

「あんたは無事じゃないみたいだな」

 

「ヤザン隊長はどういう体の作りしてやがんだ?

若さって奴か…羨ましいねぇ丈夫でよ!」

 

「ぬかせ。俺のほうが年上だ」

 

「戸籍上ってだけだろうが。

まぁいいや、えぇと
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