雷獣再臨
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す事に成功した。
ゲンガオゾとドッゴーラ2機を失った事を差し引いても、余りある戦果だ。
まさにゲトル・デプレ中佐は負け知らずであったが、それはタシロやカガチの思惑と、そして彼にあてがわれたファラの存在が大きいのだが、果たしてそれに気づけるだけの器量と冷静な思考は今のゲトルには無い。
「フフ…えぇ、宰相もお喜びでしょうが私としては、ひたすら女王陛下の御為に戦い続けているのですよ、ゲトル中佐」
ファラの指摘に、ゲトルは内心ドキリとした。
自分が功名心ばかり先立って、実権を持つ宰相の心に適うよう動いているとでもズバリ言われた気分だった。
「む、無論、私とてそうだとも。言うまでもない事だろう?」
慌てて取り繕う。
しかし元部下のニヤケ面を眺めるファラの顔は、まるで心の奥まで見透かしているかのような、嘲笑うが如くの微笑みのようにも見え、一方でゲトルになど興味がないとでも言うような酷薄な笑みでもあった。
美人がそういった笑顔をすると、逆に恐ろしさを際立たせて、浮ついているゲトルの心胆を一瞬寒くした。
「…何かね?ファラ中佐。まだ用があるのかな?」
笑むばかりで何も言わずこちらを見つめてくる元上司に気後れすまいと、威厳を保つ為にも尚更厳しい顔と口調でゲトルが言えば、やはりファラはくすくすと微笑みながら口を開く。
「ゲトル中佐は艦隊司令として重責に心砕いておられる」
「…う、うむ」
「であればこれは司令職にあった私からの助言であります。
フフ…勝ち続けるというのは毒なのですよ、司令。
勝利の美酒に酔いしれる今こそ、兜の緒を締めるがよろしかろうと進言致します。フフフ…」
慢心しようと負ける要素が無い、と言い返してやろうとしたゲトルだったが、しかしファラの気配に圧されて出かかった言葉は潰された。
「獣が坊やを連れてやってくる…!獣というのはしつこいもの…。
あの新型の速さなら、執念深いケダモノならば私達の喉元までやってくるのですよ、司令」
「追撃が来る、と?
だ、だが…ゲリラの新型は先の戦闘であなたが――」
ファラ・グリフォンの気迫に飲み込まれて、ゲトルは思わずかつてのような…彼女が未だ上司であるかのような口調で返してしまうが、誰もそれをおかしく思わないのがゲトルとファラの精・神・の・強・さ・の差異と言えた。
ファラは妖しく微笑み続ける。
「奴らは姫様≠ノご執心だ…必ず来る。
それに、あのヤザン・ゲーブルがあの程度で死ぬものか。
悪いことは言わない、ゲトル中佐…私のアドバイスを聞いてみ
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