雷獣再臨
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ない。
同胞たるベスパ兵達にも奇妙がられるのがドゥカーとパロマだ。
深い信仰と過激な思想に身を委ねるベスパ兵達ですら、この似た者同士の二名は理解し難かったが、それでも高い階級を持つのだから従うのは軍人の宿命だった。
ドゥカーとパロマは今すぐバイクについて熱く語り合いたい所だったが、今は任務中だと襟を正して顔を固くさせる。
しかし二人の目線は熱く交わりあっていて、両者の心はどこか違う世界へと飛び立って…いや、二輪で走り去っているようだったが、二人の世界に行きかけた所でつんざくような電子音が彼らを現実へと引き戻す。
「何事だ」
ドゥカーが言うと直様クルーが返す。
「レーダーに反応。4時方向より接近物です」
「MSか?」
「…それが、少し変なんです。
反応もMS級程度の小規模なもので、しかも速すぎます。MSの速度じゃありません。
おまけにミノフスキー粒子も散布しておらず、レーダーにも明瞭に映っていて…」
レーダー士も頭を悩ませ言葉に詰まる。
思考を戦いへと切り替えつつあったドゥカーだが、口の中で唾を飲み込み少しの緊張を解すと、やや深めの息を吐く。
「ならば隕石かデブリだろう」
「デブリにしても少し速すぎますよ。
それに当艦隊に真っ直ぐに向かって来ているように見えます」
クルーの言葉にドゥカーとパロマがまたも互いの顔を見合ったが、今度のそれは軍人然としたもので、そこにお・熱・い・世界は存在しない。
「確かに妙ではあるが、コロニーのゴミではなく戦闘デブリならば加速している物もある」
そこまで言うとドゥカーは整えられたクリーム色の口髭を一撫でし、だが、と続けた。
「警戒するに越したことはない。
第三…いや、第二戦闘配置発令。すぐに偵察を出せ。
接近物体を確認し、艦隊を横切る可能性があるなら破壊を――」
まぁまぁに無難な指示に落ち着いたドゥカーだったが、その指示は再度の警告音で遮られる事になった。
「――今度はなんだ!」
「っ!物体が急加速!?これは…っ、やはり機動兵器!?
しかしこんな速さ…っ、MAだってここまでは!まるで赤い彗星だ!」
常識の何倍かの速度の接近物体に、クルーは思わず戦史における最速の代名詞の軍人の異名を叫ぶ。
「間もなく有視界距離!」
「総員第一戦闘配置!ミノフスキー粒子散布!
4時方向に各砲座照準合わせ!」
急速に戦いの空気が立ち込める艦橋で、レンダ・デ・パロマは火がつい
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