雷獣再臨
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音奴≠ヘいないのか?
なら燻り出してやるぜ)
ヤザンの口角が緩く上がった。
ゲンガオゾが主に呼応する。
背のバックエンジンユニットが高速度で射出され、ケーブルの尾を引き、リレーインコムを経由する度に軌道を変えながらターゲットへと迫る。
まるでバックエンジンユニットそのものが可変MAのように単独攻撃時のフライトモードへと可変。
そしてターゲット達の前方へと回り込み、ヤザン隊よりも一足先に5連装ヴェスバーの猛射を仕掛けた。
拾ったコンティオのデータと、そして月都市エアーズからのインコムデータを元に、鬼才ミューラが仕上げたバックエンジン・インコムは実にスムーズな滑り出しを見せる。
そして実に良いタイミングで敵達はミノフスキー粒子の濃度を上げてくれているから、バックエンジンユニットが高速で回り込んでいるのを察知するのは大分遅れるに違いなかった。
ミノフスキー粒子がヤザンの悪戯≠隠してくれる。
宇宙に咲く徒花がチラチラと開いて散った。
バイク戦艦の群れが派手にビーム機銃を撒き散らし始めたのが視え、そして数秒遅れて艦砲射撃がそちらへと集中的に放たれて、こちらへの攻撃は申し訳程度で回避は素人でも出来る。
「フッ、ハハハハ!成程なァ、これがオールレンジ攻撃の感触か。悪くはない!」
囮としては重畳な働きっぷりにヤザンが笑う。
敵の意表を突き、そして本体はドライブの爆発的な加速力で一気に戦艦に肉薄すれば、ヤザンの、ノーマルスーツの下は包帯だらけの傷んだ肉体を重々しく圧するGが襲った。
「ぐゥッ」と漏れる声。
ヤザンでさえ一瞬苦悶する程の加速が襲う。傷だらけの体ならば尚更だった。
現代機の耐G性能でもこれであるから、この加速を第1期MSで行ったら即ペシャンコになってお陀仏だろう。
だが、ヤザンから漏れた苦悶は、言ってみれば女子供でも操作可能な現代機の圧に慣れた故の油断だった。
彼からすれば、全力の機動戦を行った時にはこの程度のGは別に珍しくもない。
かつては、エースと呼ばれる人種の間では、Gを耐え凌がんと奥歯を噛み締め砕く事すらままある事だ。
「…っ、こいつは具合がいいな…!」
心地いい圧迫に加え、パイロットの行きたい所に一瞬で連れて行ってくれる機体の速度、制動。
ヤザンの中の獣が疼いた。
フットペダルを踏み込む。
ヒリヒリとした圧がヤザンの傷ついた肉体を痛めつけてくるが、その痛覚すらヤザンにとっては友邦であった。
この感覚こそが戦闘なのだと、手負いの獣は嬉しそうにほくそ笑む。
そんな主の意を汲みとって、ゲンガオゾが怪物的加速を断行し、V2とは違う蟲の翅染み
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