獣達の胎動
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に、男の僕が何もしないでいるのは、単に僕のプライドの問題なんです。
……それに、かっこいいとこ見せてカテジナさんを振り向かせたいじゃないですか」
「なるほどな」
素直で良い意見だとヤザンは思う。
ヘンテコな正義感やら大義やらで戦争をやられるよりは、余程オスとして素直な闘争理由には好感を持つのがヤザンだった。
「貴様はどうなんだ、オデロ」
「………俺は、俺は…自分が情けなかったんだ…!
目の前でシャクティとクロノクルが連れてかれちまって……なのに、俺はトリモチガンなんか持っちゃって、MS相手に何も出来ないでさ…。
約束したんですよ!
ウッソにも、お前が留守の間はシャクティ達を守ってやるよ≠チて言って…。
スージィにだって、絶対クロノクルを連れて帰るって約束したんだ。
もう今までみたいに後ろで弾込めしてたり、整備手伝ったりだけじゃ、自分が情けなくて…!
俺達の家も仲間もぐちゃぐちゃにしてくるベスパの奴らを、どうしても俺の手でぶん殴ってやりたいんだよ!」
「後方支援も整備も大事な仕事だ。
それで情けないって思うのはストライカー達に対して無礼な事だぜ、オデロ」
怒るようでも無く、叱るようでもなく、ただ静かに諭すようにそう言うヤザンの顔はいたって真面目であった。
「あ…そ、そういうつもりじゃなくて、俺…!」
「フッ…まぁ貴様らの言いたい事は分かった」
そこで野獣は顔を柔らかく崩す。
彼にとって、少年らの決意は中々に好きな部類だったらしい。
「こっちだってオリファーとジュンコの離脱は確定だからな。
マヘリアもペギーも前の怪我の影響でまだ勘を取り戻しきれてない。
正直、腕のある奴がパイロットに志願してくれるのは有り難い話だ」
子供の前だから少し話をぼかしたが、カミオン隊以外のMSパイロットでいえば死亡率はもっと高い。
部隊設立時のメンバーが全員死んでいる隊だって珍しくない中で、シュラク隊とヤザン隊は凄まじい生還率を誇っているのは、偏に隊長であるヤザンの働きであった。
「とにかく、俺は未熟者を戦場に立たせるつもりはないし、教えてやれる時間も無い。
パイロットをやりたけりゃ自分で鍛えてからもう一度来い。
テストぐらいは見てやるさ」
それを聞いた少年達の目は爛々と輝く。
そういう言質を取れば、後は遮二無二実行に移すだけだ。
「じゃ、じゃあシミュレーター使っていいんですね!?」
「俺は別に許可はせんぞ。
やりたきゃ勝手にやれ。
…ただ、
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