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ヤザン・リガミリティア
獣達の胎動
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ミュは除去している暇はない。

もっと時間があれば、面白い改造を出来そうなだけのポテンシャルがこのMSにはあるのに…猶予がないのが悔やまれるわね」

 

そうなのだった。

とにかく今は時間が無い。

ミューラ・ミゲルの脳内のプランでは、既にこのマシーンとミノフスキー・ドライブが深く融合した結果が浮かんでいる。

もともとミノフスキー・ドライブとの相性が考えられているV2のトップとボトムのパーツを使い、強固なゲンガオゾを素体として組み込んでいく。

変形・合体・分離機能は当然失われるが、その分、ゲンガオゾのフレームが良い堅牢性を生み出してくれるだろう。

ゲンガオゾをたっぷりの時間で改修出来れば、きっとその姿はV2のフォルムに近いザンスカールMSといった趣になるに違いなかった。

 

(ヘッドセンサーは、ゲンガオゾの三つの複合マルチセンサーを使えば安価に、短時間で高性能なものにできる…そして私達リガ・ミリティアの象徴であるガンダムの要素を組み入れて…。

そうね…そうしたら、純然たるガンダムタイプのレイアウトとはズレるから、カラーリングもV2本来の青と白に拘らなくても良い。

多少威圧的デザインになるでしょうから、むしろ解放者としてのイメージカラーはウッソのV2にだけ担わせて…ヤザンが乗るこちらには、圧制者を砕く者としての、破壊者としてのカラーをイメージさせても面白いかもしれない)

 

MSを造る者はそのデザインに至るまで計算し、思いを乗せて世に送り出すというのは以前にもヤザンに語った事で、だからミューラはそういった方面にまで思考の腕を伸ばすのだ。

例えばティターンズのイメージカラーである濃紺と濃紫。

あの色は、連邦からの独立を半ば果たしているザンスカールにとっては痛烈なメッセージになるだろう。

ティターンズブルーは、現代でもスペースノイドを裁く存在としての強烈なイメージカラーだから、サイド国家としてはその色だけで不吉なものだし、そのパイロットがヤザン・ゲーブルというのもまた因果を感じて面白い。

ミューラは、技術屋としてそんな想像の翼をどこまでも広げていくが、そこまで考えてそれを消しては・た・と正気にかえる。

 

(今は、ゲンガオゾにミノフスキー・ドライブを積んで、そして調整するだけで精一杯だわ)

 

ウッソが涙ながらに懇願してきた光景を思い出して、自分の悪癖を心の奥底にしまい込む。

重傷の母を働かせてしまう事への申し訳無さと、そしてそんな事をしてでも助けたいシャクティへの想い。

それはミューラの母性に訴えかけ、そして魂を揺さぶるものだったから、こうしてミューラ・ミゲルは鎮痛剤を大量投与して己に鞭打ち働いている。

 

しかも
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