獣達の胎動
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男の果てるのを感じ取る。
まだまだ男女の事の経験は薄い少女は、駆け引きとかそういうのではなく、まさに本能でそれを欲した。
「…っ、抜いて…今日、危ない…っ、か、ら…っ」
熱に浮かされつつ男の耳元で拒絶を呟く。
だが、カテジナの長い脚はしっかりと男に絡んで離さず、抜き去ろうとする男を逆に奥へ奥へと導くようだった。
言葉と行動の矛盾は、そのままカテジナの精神の表層の強さと、心の奥底の愛の強さのぶつかり合いだったろう。
備品のスキンなどとうに使い切って、それでもヤザンに事をせがんだのはカテジナで、それに応えてやったのもヤザンだ。
女パイロットは薬物で月の物をコントロールするのが一般的で、そうしていれば妊娠の回避も出来るものだが、それでも100%ではないし、しかもきちんと服用していなかった場合は当然話は変わる。
そしてカテジナは最近、ヤザンとの事に及ぶつもりもあるというのにそれを服用しておらず、その行為はヤザンにもシュラク隊の同僚の誰にも秘密のルール違反だった。
それはカテジナ自身、論理的な説明が出来ない衝動だった。
飲まきゃダメだと思っても、体が、本能が服用を拒否して、しかも授かる可能性があると自覚すればするほどヤザンと肌を重ねる歓びは増した。
「だめ…いやよ…あんたの子なんて、生んでやらないから…」
言いつつ、決してこの雄を逃すまいとカテジナの本能が叫んで、むしろ自ら迎え入れて、一番奥深くで生≠受け取ってしまった。
じわりと温もりを感じる。
女の奥深くで、生命を感じる。
(私は…孤独じゃない)
「…最低よ」
全身を紅潮させて汗だくになった少女は、男の全てをくれとせがんで受け入れて、心底満たされた心で必死に嫌悪の言葉を吐き出して呟く。
腕で隠しているカテジナの顔は、きっと幸せそうなものだったに違いない。
少女は荒い息の中で、生命の鼓動を己の胎内から聞いた気がした。
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