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ヤザン・リガミリティア
獣達の胎動
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つまりこのMSのフルスペックを発揮するためにはパイロットはニュータイプでなくてはならない。

……困ったわね、ヤザンにはニュータイプ的資質はないというのに。

いっそのこと、資質があるウッソか、カテジナさんにこの機体を充てがうのも有りかも…――」

 

時にニュータイプ以上の勘の良さを見せる癖に、ニュータイプ的特性は無いという検査結果があるのだから、ヤザンという男はある意味でウッソ並にスペシャルな存在だ。

しかしゲンガオゾがサイコ・マシンである以上、それの搭乗者はニュータイプが望ましく、今、リガ・ミリティアが抱えているパイロットでその素質があるのはウッソとカテジナだけだとミューラは見ていた。

実際、カミオン隊がホラズムに到着した折、戦績の良いパイロット陣は皆サイコミュ適正試験を受けたが、その結果で芳しいものを出したのはウッソとカテジナだけであり、そしてウッソの成果はずば抜けている。

ヤザンはウッソ並の戦績を残している癖に、サイコミュ適正は0…即ち完璧なるオールドタイプとして太鼓判が押されていた。

その事について、ヤザンは既に慣れたものだったらしく、

「俺にはニュータイプ特性なんて必要ない…色々な意味でな。

フッ…まぁ、そういう事なんだとよ」

等と笑いながら嘯いていたのもミューラの記憶に新しい。

その時のヤザンは何か遠くを見ていたようで、普段とは違うひどく優しい顔だったようにも見えたのは、彼にも他人に言わない秘められた過去が幾つもある事を伺わせて、大人なミューラはそれ以上何も聞きはしなかったし、別にヤザンとプライベートでは全く気の合わないミューラにとってはどうでもいい事なのであった。

 

うんうんと唸って考え込むミューラは、重傷患者のくせにやけに活き活きとしているように見えるのは、やはり彼女の天分は技術者であり仕事人だからだろう。

例え自分が死んだってやりたい事仕事を優先するタイプでもあるから、リガ・ミリティアなんぞで我が子を放ってテロリストをやってられたのだ。

 

「いえ、ダメね。

カテジナさんではニュータイプの資質がまだ未知数だし、ウッソにこんな敵のマシーンを与えて何かあっても困る」

 

彼女がそう思うのは、やはり母親としてのエゴなのだろう。

ウッソの才能はカテジナよりも強く、そして不安要素のある機体はヤザンに押し付けたい…そう思っている節があり、それは少々独善的であったがある種の母の愛ではある。

 

「やはり単純に操作に対するレスポンスを徹底的に敏感にして、バイオコンピューターの同調深度も上げるのが手っ取り早いかしらね…。

コクピットはライフルで穴が空いているから全取り替えでいいけど…全身の各所にある制御系統のサイコ
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