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ヤザン・リガミリティア
獣達の胎動
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ヤザンがリガ・ミリティアにいる   作:さらさらへそヘアー

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獣達の胎動

「大丈夫ですか?ミューラ先輩」

 

ひび割れたメガネを掛け、頭にも腕にも包帯を撒いたミズホ・ミネガンが、青い顔をしながら車椅子に乗る女に声をかけるが、その女・ミューラは笑っていた。

 

「大丈夫なわけないでしょう?

でも、やるしかない。

無茶な事だけど、今の状況を少しでも良くする為には…悪くない手よ」

 

腰を撃ち抜かれて、すっかり動かなくなった下半身を車椅子に預け、今も苦しい呼吸を吸入器で補う。

食べ物を受け付けない胃のせいで、栄養チューブから点滴を受けっぱなしだった。

だが、ミューラ・ミゲルはそれでも叩き起こしてきたヤザンの案に乗った。

そして、生き残ったスタッフを掻き集めて、生存者の探索と基地の修理と並行しつつ、月面に転がっていたV2と、三つ目のベスパのMSを回収した。

それが、今目の前にあるマシーンだ。

 

「…ZMT-S28S・ゲンガオゾ、か。

ベスパの基礎工学力は、やはりこちらの先を行っている…。

凄まじい性能だわ。

ミノフスキー・ドライブが無ければ、V2でもポテンシャルは格下なのね…悔しいけど、あそこで研究が出来たら…なんて想像はしてしまうわね」

 

ゲンガオゾの頭部に搭載されたバイオコンピューターに繋がる幾つもの端子ケーブルが、暗号化された機体情報を次々にミューラへと告げる。

控えめに言ってもMS工学の分野では天才であるミューラにかかれば、この程度の暗号化はわけもない。

スラスラと情報を読み取っていった。

 

「…コクピット周りにはサイコフレーム。

機体制御全般にサイコミュが使われている…。

登録脳波サンプリングはルペ・シノ。

背中のバックエンジンユニットは強力な追加ブースターでもあり、しかも一種の遠隔端末にもなる。

ビームサーベルは柄が長く、伸長する。

高度なIフィールド形成能力を持ち、ビームメイスとなって意図的にビームスパイクを伸縮させる…面白い兵器だわ」

 

長さも自在、サーベルとメイスの瞬時切り替えも出来るのは格闘戦を得意とするヤザンとの相性は良いかもしれないとミューラは考える。

 

「ゲンガオゾはサイコミュによってパイロットの反応をほぼ反射的に動きに反映できる。


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