妖獣の爪痕 その2
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が冷徹に回りだしていた。
蓄えられた顎髭を撫でさすりながら沈思にふける。
(セント・ジョセフとグラナダはそう遠くないし、ニューアントワープ市とアナハイム市ならもっと近い。
その気になれば我々とベスパとの交戦中にも駐留部隊は駆けつける事は出来たはずだ。
市民からも通報はあったろうに…未だにパトロール隊一つ寄越さないとはな。
フォン・ブラウンからは遠いから静観とでも言うなら…連邦はルナリアンからも見捨てられる事になるぞ…高官達は分かっているのか?
…やはり、以前の蹶起と合流が連邦の最後の絞り汁だったのだろうか。
だとすれば…もはや連邦に活を入れるというリガ・ミリティアの基本方針そのものを考えねばならぬかもしれない)
出すだけのモノを出し切らせたのなら、残るモノはどれだけの組織規模があろうとももはや絞りカス。
身も蓋もない言い方をすれば、出すものを出したならもう用無しという事で、むしろ自力で動けぬぶよぶよと肥った老体には消えてもらった方が世界がすっきりする。
宇宙戦国時代を鎮める力は、連邦政府にも連邦軍にも完全に無いと見切りをつける良い機会かもしれぬともオイ・ニュングは観想した。
(例えば…シャクティさんを帝国に奪われたなら、それをいっそ利用し、そのまま女王マリアと旧交を温めてもらって、そこから宰相カガチの分断にもっていく…。
それが出来れば…ガチ党のギロチンを排除したザンスカールならば…逆に今の時代では必要とされるのではないか。
マリアの求心力は素晴らしいものがあるし、肥大し腐敗しきった老国では出来ないことを、年若い国家だからこそ出来る事もある。
そうだ…問題はガチ党なのだ。
だから、シャクティさんを最大限使えば…ザンスカールを国内から変容させる事は出来るのではないか?)
まだオイ・ニュングの頭の中だけで温めている新方針。
彼自身、固めきれていない考えだが、その新しい考え方には天啓のような閃きも感じていた。
ヤザンやウッソにばれれば間違いなく反発を買うだろうし、それにジン・ジャハナム達とも話し合ってみねばならぬが、多くのジャハナムにとってリガ・ミリティアの最終目標はギロチンの打倒であるから、そう色の悪い返事は寄越されない気はするものだが、オイ・ニュングが漠然と考え始めたニュー・プランが、現実味を帯びるのには、もう少しの時が必要だった。
建設的思考をしつつ、センチメンタルに流された失態も悔やむという器用な真似をする伯爵だが、悔やむ≠ニいう方面では伯爵以上…特にウッソ・エヴィンの焦燥はベクトルも違えば桁も違ったのは当然だ。
そしてウッソという少年は、頭が良い割に感情と本能で走り出す性分も多々あるの
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