妖獣の爪痕 その2
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頬が赤くなるもすぐに慌てて目を逸らす。
今はそれぞれがやるべきことがあるのだ。
エリシャは瓦礫の影を巧みに移動し、そして半ば崩れそうなデッキに脚を踏み出せば、ギシ…と実に不安な音がする。
オデロもオデロで、ゴッドワルドの視界に入らぬよう、音を立てぬように這い進むのは酷く気を疲れさす作業だ。
しかも、様々な要因で整備ハンガーは今にも崩れそうな場所がままある。
そしてこのハンガーは5階建て相当の高さとくれば、恐怖はひ・と・し・お・であった。
「あっ」
と、小さな声を発しつつオデロは顔を青くした。
ゴッドワルドがコンティオの首の付根からとうとうコクピットへと飛び入ったからだった。
(やばい!)
思うと同時にオデロはもう隠れても無駄とばかりに身を起こし、そして走った。
だがクロノクルもまた同じくして走り出していた。
「クロノクル!?待てよ!!」
「あぁもう!えい!」
破れかぶれだと、オデロとエリシャはトリモチガンをMSへとぶっかけてやったが、それはコンティオの猫目の一部と首元を汚すだけでしかない。
コンティオのハッチが閉まる寸前、クロノクルが無理矢理に飛び込んだのがオデロとエリシャには見えた。
そして銃声が聞こえ、一瞬、赤いモノが宙を舞ったが、それでもクロノクルは中にいるパイロットへとまたも組み付いたようだった。
トリモチを発射しながら駆け寄るオデロとエリシャ。
コンティオの中から男達の怒号が聞こえた気がして、だがすぐに静かになって、そいてハッチが完全に閉まってしまう。
「クロノクル!!おい、開けろ!開けろよ、この野郎!!
シャクティとクロノクルを返せ!!」
コンティオの首の装甲をガンガンと叩きながら、声高に叫ぶ。
もっと言ってやりたい事があるのだ。
「危害は加えないっていったじゃないか!!
さっさとシャクティを解放しろ!クロノクルを返せって!!」
しつこく殴りつけるうち、なんと律儀に機内のゴッドワルドからは返答があった。
『害は加えん。この娘には私の人質を続けてもらう。
クロノクルに関しては、元々こちらのモノだ…交渉の余地は無い。
…少年、離れねば命の保証はせんぞ…!』
コンティオの目に火が灯る。
「っ!オデロ、危ない!!」
エリシャが咄嗟に叫び、そしてコンティオにしがみついているオデロ目掛けて跳んだ。
コンティオのジェネレーターが唸りをあげ、そしてゆっくりとMSの鼓動は速く、強くなっていく。
複合マルチセンサー
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