妖獣の爪痕 その2
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、オデロとエリシャはこみ上げる吐き気を必死に耐える。
戦争というものを見慣れているオデロでさえ、一瞬血の気が引く光景で、オデロがエリシャを見れば、案の定彼女は涙まで浮かべて必死にこみ上げるものを耐えていた。
オデロが少女の背を優しくさすって、そして二人は何とか吐き散らす事もなく血と油の臭いがする格納庫を進む。
そして…。
「あれだ…!拾ったベスパのMS…コンティオってやつに乗り込んでる!」
幾らかの破片で所々凹んでいるものの、無事らしいコンティオを調べているゴッドワルドをとうとう見つける。
このコンティオは、以前の戦いで拾ったパーツから再生されたもので、機体調整も不十分な組み立てただけの代物だ。
しかもザンネックからの砲撃によって多くのパイロットが負傷、或いは道を塞がれてそもそも格納庫に到着出来ない事から、こうして起動可能ながらも無人で放置されていた。
「ど、どうするのオデロくん」
「どうするったって…!
そ、そうだ、エリシャ…そのトリモチガンをとってくれ!」
格納庫から飛び出したであろう工具キットの残骸の中に転がる緊急接着剤トリモチ銃を見て、オデロは無いよりはマシとそいつを構えてエリシャにも一丁渡すと、そろりと5階建て相当の高さの整備ハンガーへ近づいた。
と、その時だった。
「オデロ、あれ…!」
「ええ!?」
エリシャがこっそりと指差した先…オデロ達の行き先にはコンティオへと繋がる整備ハンガーの影に潜む人影がいるのだ。
コクピットへと項垂れたシャクティを押し込む包帯男・ゴッドワルドの様子を観察している赤髪の男は、紛うことなきクロノクル・アシャーだった。
そしてあの様子では、ゴッドワルドはシャクティを気絶させたらしいのも分かる。
「あ、あのバカ…一人で挑むつもりかよ…!
も、もうちょい待てよ…はやまるなよぉ…!」
「急がないと、オデロ!」
「分かってるって!エリシャ、反対側に回り込めるか…!」
「一人で大丈夫なの!?」
「忍び足で行くんだ、もうどうとでもなるって!
俺が飛び出したら、包帯野郎は俺がやるから、エリシャはコクピットをトリモチで塞いでくれ!」
「頼むぜ!」と一言だけ最後に言い、シッシッと払うような仕草でエリシャへ早く行くよう促すと、「何よそれ!」と少女は無礼なジェスチャーに小声で抗議の声を上げたが、すでに少年は少女に恋する思春期の顔を完全に消して、リガ・ミリティアのゲリラ兵士の顔となっていた。
そしてその横顔に、エリシャの胸の方こそが今度こそときめいて、一瞬
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