妖獣の爪痕 その2
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V2が火を吹いたのはウイングバインダーで、ミノフスキー・ドライブじゃない。
ひょっとしたらミノフスキー・ドライブは、載せ替えで使えるかもしれん」
よっぽど運が良けりゃぁな、という言葉は出さずに飲み込む。
ヤザンとしては非常に楽観的かつ希望的観測に過ぎる見方と言えたが、それだけ直様の追撃は無理があるという事のアピールかもしれないとカテジナは思った。
「使えたとしたら、どの機体に載せるの?
特別に開発されたフレームじゃなきゃミノフスキー・ドライブの出力には耐えられないのでしょう?
シャッコーのフレームでも、ミノフスキー・ドライブの最高出力には耐えられない」
次世代機のベース機だけあって、シャッコーは一際しっかりとした骨組みと、そして拡張性を有しているが、それでも今の完成度のミノフスキー・ドライブでは荷が勝ち過ぎる。
これが、試験機に搭載したという完成度が遥かに未熟なドライブならば耐えられただろう。
そんな疑問をカテジナがぶつければ、やはりヤザンは明朗に答える。
「戦場に、ちょうどいい立派なモノが転がっているだろうが。
あの三つ目野郎さ」
ニヤッと笑うヤザン。
カテジナもウッソも、そしてマーベットもケイトも、その他の面々も…いい加減、ヤザン・ゲーブルの手癖の悪さは嫌というほど知っていた。
戦場のあらゆるモノを利用し、サバイブする力はずば抜けている男だから、そういう目端も利くのだろう。
「コクピットだけをキレイに抉ってやった甲斐があったな」
半死人を叩き起こし、そしてV2のエンジンと、そして戦場に斃れる三つ目のハイエンド・ザンスカールマシーンを組み合わせる。
それが出来れば、即席のV2級MSの完成だ。
同じサナリィ規格なのだから共通点も多いのは、既にシャッコーとガンイージで分かっている。
だからといってそれが絵に描いた餅なのは確かだが、そんな絵に描いた餅を実現でもさせる強運が無ければ、シャクティとクロノクルを取り返すなど土台無理な話。
これは、確かにヤザンの一つの賭けだったが、戦艦まるまる一隻リーンホースをたった数日で改修してみせたリガ・ミリティアの技術陣ならば、条件次第で勝つことも不可能ではない賭けでもあった。
「ウッソ、祈っていろ。
うまくいくかどうかは、お前の母親にかかっているという事だ」
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