妖獣の爪痕 その2
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「ミューラは生きている。
シャクティだって、クロノクルだって生きている。
さらわれただけだ。
生きてるなら、どうとだってやり直せるとさっき言ったな?」
「…はい」
「ならそういう事だ。
安心しろよ。この俺が助けてやるってんだ。
いずれ必ず助け出してやる」
ウッソの拳が強く握られ震えるのをヤザンは静かに見た。
一拍置き、ウッソの目を真っ直ぐに見つめながらヤザンは言う。
「どんな手を使っても…何をしても助けたいってか?」
「………………はい。僕の、大切なパートナーです。
クロノクルだってもう家族みたいなものですから」
ふっとヤザンが微笑んだ。
「そうか。なら、俺も使える手は何でも使わせてもらうぜ。
構わんな?ウッソ」
その言葉にウッソは目をパチクリとさせ、上官の人相の悪い目を見た。
「ミューラを叩き起こしてもう一働きさせるってことだ」
ざわつく室内。
今も面会謝絶のミューラ・ミゲルに何をさせようというのか。
ケイトが声をあげる。
「無茶ですよ隊長。
ミューラ先輩、手術を終えたばかりですよ!?」
「あいつはやり手のテロリストだ。
この程度の死線幾度となく潜り抜けている。
それに息子の頼みだ…聞くだろうぜ。
母は強し、だ。ハハハハハッ!」
呆れた、というよりも所謂ドン引きという顔で皆がヤザンを見る。
そもそもはわがままを言いだしたウッソのせいだが、それでも言い出しっぺのウッソも顔を青褪めさせていた。
重傷の母を無理矢理働かせると言われれば、世の子供らは皆同じような反応をするに違いない。
「か、母さんになにさせようっていうんですか!?」
「別に肉体労働をさせるわけじゃない。
車椅子の上で点滴繋げながらMS修理の陣頭指揮をさせるだけだ」
それを無茶って言っているんでしょう、とマーベットが小さくぼやく。
「そう言うな。
多少の無茶でもしなけりゃ、そもそもタイヤ戦艦に追いつく事も出来んし、追いついたってろくに戦えん。
お前達もあのバイク共の戦力規模を見ただろう?
V2級のMSがどうしたって複数必要になるんだ」
「V2が…複数?
今からV2を作らせる気?」
カテジナも頭を傾げた。
直前の戦いで、ヤザンのV2は失われたのは既に皆知っている。
「墜ちる寸前、俺はコンピューターが吐き出していたエラーメッセージをざっと見ている。
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