妖獣の爪痕 その2
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は、ある意味、汚い事を考える大人とは真逆の純粋さともとれた。
「どこへ行くの、ウッソ!」
走り出そうとしたウッソを、マーベットが押さえつけ、そしてまだ抗おうとする少年を抑えなだめるのにミリエラもフラニーも加わる。
「シャクティがさらわれたって事でしょう!!
クロノクルだって、一緒に連れて行かれちゃったってオデロは言ったんでしょう!!?
母さんだって撃たれて…それで、なんでジッとしいていろって言うんです!!」
「気持ちはわかるけど、でも一人でいったって何も出来ない!
分かっているでしょう!?
こちらの被害も大きくて、今はリーンホースも動かせないのよ!
オリファーも、シュラク隊だって怪我人だらけで、ヤザン隊長でさえ大火傷を負っているのに奴らを追うなんて不可能よ!!」
今の状態は最悪にも思えるが、それでも不幸中の幸いと言えるだろう。
主力メンバーに死人がでていないのは、とんでもなく強運であった。
もっとも、不幸中の幸いであっても間違いなく痛みはリガ・ミリティアにある。
例えば、オリファー・イノエは片腕の切断已む無しとの診断が出たし、ジュンコ・ジェンコも片目を失明した。
現代技術ならば義手も義眼も、人体機能を補えるレベルのものがあるが、それでも短期間でのパイロット復帰は絶望的だ。
瓦礫に巻き込まれて、ゴメス艦長も今は治療室送りとなっている。
包帯だらけながらも今も会議に参加しているヤザンという男が、とんでもないタフネスを持っているバケモノであった。
「俺なら別に今すぐだってMSを動かせるがな」
鼻で笑いつつ、冗談めかしてそう言うヤザンを、キッとした目でマーベットは睨む。
「隊長が特別製なだけでしょう!
本当なら、隊長にだって安静にしていて貰いたいぐらいですよ!」
背中から右腕、右太腿の裏にかけてレベル2度の火傷であり、また左脚もポッキリと折れていたが、ギブスで強固に固定して松葉杖も使わず立っているヤザン。
ウッソへ言った「不死身だ」という妄言もあながち間違いでは無いのかもしれない。
「マーベット、いい加減放してやれ」
ウッソの目をじっと見ながらヤザンが言えば、ようやく少年は解放された。
ヤザンの目を見つめ返す少年は、もう暴れはしない。
「ウッソ」
「はい」
「俺と伯爵で、すぐにシャクティとクロノクルの救出作戦は考えてやる。
だから、とにかく今はお前も休め。
それに…ミューラの見舞いだってしなきゃならんだろう」
「それは…」
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