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ヤザン・リガミリティア
妖獣の爪痕 その2
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ゴッドワルドに気付かない。

銃を奪い、そして混乱する施設内を彷徨き…、

 

「ミューラ・ミゲル…!俺の恨みを知れ!!」

 

「…ゴッドワルド!?」

 

悪運極まってミューラはゴッドワルドと邂逅してしまった。

ゴッドワルドに欠片の躊躇もあろうはずもなく、爆発で揺れて煩い地下基地の中、誰にも気取られずに銃声が鳴り響く。

出合い頭にふらつく腕での発砲は、ゴッドワルドの狙いを荒くした。

頭と心臓を外れて、ミューラの腹と腰を銃弾が幾つも貫いて、彼女は血を吹き出して倒れればようやくスタッフ達はそいつに気付く。

 

「捕虜が脱走したぞ!」

 

「ミゲル博士が撃たれた!」

 

「こっちに人を回せ!」

 

ゴッドワルドとしては、そのまま倒れたミューラの脳天にトドメの弾丸を2、3発撃ち込んでやりたかったが、彼女が血を出して倒れ込んだ光景は彼の心を幾らか安んじて、そのお陰で彼は逃走≠ニいう選択肢を思い出せたし、ミューラの命を結果的に助けた。

 

「はぁ…はぁ…!お、俺は…死なぬぞ…!い、生きて、帰る…!

人食い虎のゴッドワルド・ハインが…こんな、所で…死ねるかよ…!」

 

追手から逃げ、明滅する暗い廊下をひたすらに走る。

体を酷使する内、体のあらゆる所の傷が開いて血を流し、剃り取られた鼻や頬の傷も開いてしまえば彼の見た目はまさにホラー映画さながらの血だらけの包帯男だった。

そんな男と、薄暗い廊下でばったり出会った子供達がいればどうなるか。

 

「きゃあああああっ!!!」

 

マルチナの叫び声が廊下に響き、そしてウォレンが咄嗟に前に出て庇うが、

 

「マルチナさん!?う、うわ!お、おばけぇぇぇ!?」

 

やはり悲鳴を上げた。

だがゴッドワルドもまた外面はともかくも内心は取り乱していた。

 

「子供達がこんなに!?

リガ・ミリティアはこんな子供まで利用するのか!!」

 

銃を向けて威嚇しつつ、ゴッドワルドは驚きと怒りで叫ぶ。

 

「どけ!殺す気はな―――」

 

そこで気付いた。

ゴッドワルドの目に映った赤髪の男。

ザンスカールの者ならば、ベスパの軍人ならば誰もが知る男だった。

 

「なっ!?ク、クロノクル・アシャー!!

クロノクル中尉!!生きていたのか!!」

 

MIA戦死扱いとして本国で発表されていた女王の弟とまさかの再会であった。

シャクティとオデロが、包帯男の言葉で勘よく察する。

 

「この人、ベスパの軍人だわ!」

 

「生きてる人間って分かりゃこんな
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