妖獣の爪痕 その1
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だろう。やられたんだ。
ウッソに拾ってもらったのさ」
「ヤザン隊長が…やられたって…て、敵はそんなに!?」
「ブリーフィングでまとめて後で教えてやるよ。
ところでオリファーはどうした」
「っ!そ、そう、それをこちらも報告しようと思って…!
基地の損害は見ての通り甚大で、詳細は不明。
何人死んだか、行方不明か、とにかく詳細はすぐになんて分からないわ。
オリファー副隊長、ジュンコ・ジェンコ、ヘレン・ジャクソンは被弾。
救護班に拾ってはもらえて…あと、他にも…たくさんあり過ぎて…と、とにかくヤザン、早く降りてきて!」
カテジナの言葉に、思わず焼け付いた背を浮かしてヤザンが鋭い三白眼を見開いた。
「オリファーもやられただと!
生きているのか!?」
「全員、生きてはいるけど、重傷よ」
ヤザンの浮いた背がまたシートに沈み、どこか安心したようにヤザンは深く息をつく。
「…そうか。まぁ生きてりゃどれだけでもやり直しがきく。
フッ…しかし、隊長と副隊長が揃って被弾とは、かっこがつかんな」
愚直るようなその呟きに、カテジナよりも早くウッソが口を開いた。
「そんなこと!
オリファーさんも、ヤザン隊長も、誰より体を張って皆を守ったってことでしょう!」
まるで自分のことのように怒る少年。
それをヤザンは少々複雑な面持ちで眺めて、そしてウッソの白いヘルメットに手を添える。
「俺やオリファーは指揮官だ。
指揮官の一番の仕事は最後まで生きて責任をとることだ。
部下貴様らを生かして帰るにしても、隊長が真っ先に死んでちゃそれもできんからな。
死ぬ指揮官は三流さ」
「でも…だったらヤザンさんはやっぱり一流でしょう!」
生存能力に誰よりも長けるヤザンは、その理論でいえば超一流だとウッソは思うし、その評価は正しいと何故かウッソの方こそが胸を張る。
尚も言いすがってくるウッソの頭を軽く小突いて止めたヤザンは、少し気恥ずかしさが在ったのかもしれない。
「さっさと帰るぞ。
俺は怪我人なんだ…早いとこ頼むぜ、ウッソ」
「あ…は、はい」
余りにも元気にがなり立てていたものだから忘れがちだが、少年は椅子代わりにしていた師が大怪我を負っているのを思い出す。
可能な限り振動がヤザンへ伝わらぬようにと、気遣いに満ちる操縦でV2を滑らかに下降させていった。
出迎えてくれるホラズム基地は、詳細な位置が掴めなかったのであろう…ベスパの無差別攻撃と
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