妖獣の爪痕 その1
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なんで関係ない人達を、ああも簡単に殺せるんだ!」
V2ガンダムの左目に狙撃用の眼帯スコープが下り、そしてウッソの腕もあって通常のビームライフルでもかなりの距離からの精密狙撃を可能とする。
躊躇なくウッソがトリガーを引けば、鮮烈なピンクのビーム光が真っ直ぐとタイヤを駆る黄色いMSを貫く…かと思われたが、それはタイヤによって弾かれて散る。
「効かない!?
あのタイヤ、ビームを弾くの!?」
一条の光がまたV2から放たれる。
二条、三条と光の矢は次々に放たれて、その全てをタイヤは弾く。
「ウッソ、怒りは良いカンフル剤だ。
だが、敵をやる時にゃクレバーさを脳の片隅に残しておけ!
リガ・シャッコー達の動きを見ろ…すれ違いざまに中のMSを狙うんだよ!」
「は、はい!」
ヤザンが指差した先では、確かにシャッコー達はタイヤと真正面からやり合うのを避けて横へ横へと回り込んでいる。
背後に頼るべき師がいるのはウッソに大きな安心を与えてくれたし、そしてこの教え子は師の教えを乾いたスポンジのようにぐんぐんと飲み込むからこの課題はもはやクリアされたも同じだった。
次に引かれたトリガーが、銃口からビームを放ち、そして今度のそれは確実にタイヤの隙間を塗って黄色いMSを貫く。
タイヤが内側から炎を伴って破裂するようにして吹き飛んで、それを切っ掛けとして本格的にベスパ達は後退を始める。
「逃げていく!」
「行かせておけ!
こっちも被害が大きい…深追いをしてこれ以上の怪我をしてもつまらん!」
「はい…!」
月の大地を抉るように巨大なタイヤを轟かせて、巨大戦艦とタイヤ乗りのMS達が整然と走り去っていく。
リガ・ミリティアの全機がV2の周りへと集ってきて、走り去るザンスカール帝国を憎らし気に見送るしかなかったが、既にリガ・シャッコー達の意識は半分程がバイク戦艦から反れていたのが直後の通信で分かる。
リガ・シャッコーの中からノーマルのシャッコーが飛び出て、そしてV2の肩に手を置いた。
「ウッソ!」
ウッソの名を呼ぶカテジナのソプラノの声がV2のコクピットで反響した。
「カテジナさん、無事だったんですね」
「無事に見える?散々よ。いいようにやられた。
それで、どうして1機なの!?ヤザン隊長は!」
「隊長は――」
言おうとして、それを遮って背後の男が代わりに返した。
「ここだ」
「ヤザン!?なんでウッソのV2に?」
「見りゃ分かる
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