妖獣の爪痕 その1
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れず、またヤザンの思いを踏みにじる事にもなるから、ウッソは構わず加速し続けるのだった。
「ヤザンさん、後少し、後少し…我慢してください!」
「気にするなと言っている!
お、お前が俺の心配など100年早いんだよ…!
俺を不死身と、思え…っ、殺されたって死ぬもんか!」
そう憎まれ口を叩くヤザンだが、さすがにヘルメットの内側で、痩け気味の頬を脂汗が伝っている。
そんな強がりの様子を教え子に見られてないポジショニングなのは、正直今のヤザンには有り難い事だ。
「っ、見えました!
やっぱりベスパはホラズムを直接叩くつもりなんですよヤザンさん!」
「ありゃ戦艦か!?
タイヤ付きの戦艦が地面走って…、タイヤが空を飛んでいるだとぉ!?」
一年戦争とグリプス戦役、そしてハマーン戦争など様々な戦争・紛争を経験したヤザンでも見たことがない珍妙な光景がそこにはあった。
真ん中をくり抜いた大きなタイヤの中に乗り込んだMSゲドラフが地と空を自在に駆けて、そして大型戦艦アドラステアがハリネズミのようにビーム機銃をばら撒きながらタ・イ・ヤ・で走る姿。
そして、それらの攻勢を巧みに捌いているリガ・シャッコーとガンブラスター達。
「シュラク隊がうまいことやっているようだが…!」
「あいつら、もう退き始めてるみたいに見えるけど…」
ウッソがそう指摘した通り、リガ・シャッコーの一撃を受けて爆散したタイヤ乗りのMSの姿がちらほらと見受けられて、そして巨大なハリネズミのバイク戦艦は少しずつ燃え盛るセント・ジョセフ・シティから離れようとしていた。
既にかなりの戦いがここでもあったのが一目瞭然であった。
「…セント・ジョセフとホラズムが…!」
ウッソの声が震える。
既に砲撃によって大被害を被っていた月面都市は、見る影もない程に破壊しつくされていた。
ホラズムの大クレーターだけでなく、セント・ジョセフの洞穴までが完全に崩落し、そして剥き出しになったビル群はまるで巨大なローラーに轢き潰されたように圧潰している。
「まさか…あの戦艦のタイヤで轢きやがったのか!
連邦の膝下でこうまでやる…チッ、やはりザンスカールってのはイカれてやがる。
だがそれ以上にこうまで舐められる連邦が情けないにも程があるぜ…!」
下手をすればセント・ジョセフの生き残りは一人もいない。
そう思える程の破壊っぷりであり、そしてその惨状を前に何も出来ていない連邦政府と軍へ、ヤザンは何とも言えぬ感情を抱いていた。
「な、なんで、あいつら…!あいつら!
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