暁 〜小説投稿サイト〜
ヤザン・リガミリティア
妖獣の爪痕 その1
[6/10]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話

慌ててヤザンの肩を抱き支えて跳ぶウッソ。

二人は転げるようにして慌ただしくV2のコクピットへ雪崩込んで、そしてヤザンはどっかとシートへ座り込んだ。

 

「俺の大きさじゃ後ろのスペースはちとキツイ。ここはもらうぞ」

 

「それは別に構いませんよ。けど、僕は後ろでもいいですが、その体じゃ操縦は…」

 

「お前が操縦しろ。俺はお前の椅子代わりになってやるって事だ」

 

「えぇ!?ぼ、僕がヤザンさんの膝の上でガンダムを動かせってことですか!?」

 

「仕方なかろう!つべこべ言ってないでさっさとしろ!

まだホラズムが無事か分からんのだぞ!」

 

「え?で、でも奴らは撤退して…」

 

「奴らが陽動か本命かは分からんが、あいつらの戦力があれだけとも思えん。

連邦のお膝元で暴れるんだ…奴らだってもっと戦力を用意しててもおかしくはない」

 

「っ!そ、そうか…そうかもしれません!

僕らはおびき出された!」

 

「しかしおびき出されてやらにゃ、あの超長距離砲で俺達は全滅だ。

V2で奴らをとっとと始末して、そしてトンボ返りで基地を守りに帰る…そのつもりだったが、俺としたことがこのザマだ。

後はウッソ、貴様に頼らせてもらう」

 

ヤザンの膝の上で手早くV2を再起動させて、ウッソは直様帰路につく。

ヤザンの一際立派なモノがノーマルスーツ越しにも少年の尻で感じられて、同性故のその不快さや気恥ずかしさ、そして同性だからこその羨望などもほんの少し感じるが、今はとにかくそれどころではない。

それが聡明な少年には理解できているし、ヤザンが頼らせてもらう≠ニ、そう言った時にほんの一瞬見せた…ウッソへの申し訳無さと、恐らくはヤザン自身へ向けた怒りが同居した表情を見て、ウッソは口元を勇ましく引き締める。

 

「任せてください!

僕が隊長の分までやってみます!」

 

「そうだ、その意気だ!」

 

フットペダルを踏み込む。

人間二人をシートに押し付けるGが機体にかかり、焼けた背中に二人分の重力がかかればヤザンは声なき声で呻く。

ヤザンがシャッコーやアビゴルでやってのけた二人乗りとは、少々勝手が変わってくるのだ。

ヴィクトリーやV2はコアファイターがコクピットであるから、全天周囲モニターのリニアシートと比べるとパイロット保護機能が劣る。

対ショック、対G機能で劣っていて、初めて乗った時にはウッソでさえ「パイロットを大切にしていない」と感じた座り心地であった。

ウッソとてそれは分かっているが、ヤザンに気を使ってスピードを落とせばそれこそ取り返しがつかない事になるかもし
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ