妖獣の爪痕 その1
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慌ててヤザンの肩を抱き支えて跳ぶウッソ。
二人は転げるようにして慌ただしくV2のコクピットへ雪崩込んで、そしてヤザンはどっかとシートへ座り込んだ。
「俺の大きさじゃ後ろのスペースはちとキツイ。ここはもらうぞ」
「それは別に構いませんよ。けど、僕は後ろでもいいですが、その体じゃ操縦は…」
「お前が操縦しろ。俺はお前の椅子代わりになってやるって事だ」
「えぇ!?ぼ、僕がヤザンさんの膝の上でガンダムを動かせってことですか!?」
「仕方なかろう!つべこべ言ってないでさっさとしろ!
まだホラズムが無事か分からんのだぞ!」
「え?で、でも奴らは撤退して…」
「奴らが陽動か本命かは分からんが、あいつらの戦力があれだけとも思えん。
連邦のお膝元で暴れるんだ…奴らだってもっと戦力を用意しててもおかしくはない」
「っ!そ、そうか…そうかもしれません!
僕らはおびき出された!」
「しかしおびき出されてやらにゃ、あの超長距離砲で俺達は全滅だ。
V2で奴らをとっとと始末して、そしてトンボ返りで基地を守りに帰る…そのつもりだったが、俺としたことがこのザマだ。
後はウッソ、貴様に頼らせてもらう」
ヤザンの膝の上で手早くV2を再起動させて、ウッソは直様帰路につく。
ヤザンの一際立派なモノがノーマルスーツ越しにも少年の尻で感じられて、同性故のその不快さや気恥ずかしさ、そして同性だからこその羨望などもほんの少し感じるが、今はとにかくそれどころではない。
それが聡明な少年には理解できているし、ヤザンが頼らせてもらう≠ニ、そう言った時にほんの一瞬見せた…ウッソへの申し訳無さと、恐らくはヤザン自身へ向けた怒りが同居した表情を見て、ウッソは口元を勇ましく引き締める。
「任せてください!
僕が隊長の分までやってみます!」
「そうだ、その意気だ!」
フットペダルを踏み込む。
人間二人をシートに押し付けるGが機体にかかり、焼けた背中に二人分の重力がかかればヤザンは声なき声で呻く。
ヤザンがシャッコーやアビゴルでやってのけた二人乗りとは、少々勝手が変わってくるのだ。
ヴィクトリーやV2はコアファイターがコクピットであるから、全天周囲モニターのリニアシートと比べるとパイロット保護機能が劣る。
対ショック、対G機能で劣っていて、初めて乗った時にはウッソでさえ「パイロットを大切にしていない」と感じた座り心地であった。
ウッソとてそれは分かっているが、ヤザンに気を使ってスピードを落とせばそれこそ取り返しがつかない事になるかもし
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