妖獣の爪痕 その1
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う類の発信をしていない事にウッソは一定の安堵をしていた。
V2の優れたモニターとセンサーの索敵を駆使して、静寂を取り戻した月の空を見渡す。
「あの龍みたいな奴」
すぐにウッソはドッゴーラの残骸を見つけて、そして微笑む。
自分が尊敬し、そして憧れすらある戦士がこうして強くあるのだという証拠を見つけるのは少年心に嬉しい。
「龍の残骸が1機…2機目……あんなに尻尾がバラバラに…?
あいつ、尻尾をあそこまで細かく分離させる事が出来たのか…。
そして…あれは…三つ目の奴。
…ヤザンさんはどこに…………えっ、あ、あれは――!」
沈黙したドッゴーラ2機と、そしてゲンガオゾ…それらのほど近い月面に、ウッソを仰天させる光景があった。
「V2一号機…!!」
下半身を失い、所々から火を噴き上げているV2一号機が小さなクレーターに落着していたからだ。
視覚的に、人型の下半身が無いというのはそれだけで痛々しく無残だが、しかも母が熱く語っていたV2の白い装甲も抜けるような空の青も黒く焦げて燻る。
V2の象徴とも言えるVの字の翼≠熾ミ方が根本から爆散して抉れていた。
ウッソは心臓が嫌な高鳴りをして、そして背中が瞬時に冷えていくのを感じる。
脳の奥が重くなってジンジンと痺れるようで、思考がバラバラになっていきまとまらない。
思考を差し置いて、本能が反射的にウッソを動かしてV2を加速させていた。
とにかくいち早くヤザン機に駆けつけたい一心であった。
「ヤザンさん!!」
V2一号機の側に強行着陸し、慌ててキャノピーを跳ね開けて飛び降り、そして今も燃える一号機に向かって駆け出す。
手には備え付けの消火剤噴霧器を握りしめ、パイロットスーツの腰部推進機を思い切り吹かして跳ぶ。
(大丈夫、大丈夫だ!だって…僕がニュータイプだっていうなら、まだヤザンさんの死なんて感じていないんだ!)
メガ粒子がエンジンのIフィールドを崩壊させて初めて核爆発が起こる当代のMS達だが、純粋な燃焼でもエンジンが小規模爆発を起こす可能性はいつだってあった。
既に大学に通用する論文すら書けてしまうレベルに聡明なウッソがそれぐらい気付かぬはずはないが、今はそんな可能性を埒外に投げ捨てる程ウッソは懸命だった。
「ヤザンさん、ヤザンさん!ヤザンさん!!」
涙目になりながらも、熱くなった開閉ハッチを殴るように叩き、そして引き出されたキャノピーに纏わりつく火炎に必死に消火剤を撒き散らす。
硬質偏光材で薄暗いキャノピーの向こうにいる人影は鮮明には伺えないし、ひび割れも
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