獣と龍と
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に見向きもせずにブロッホとピピニーデンくだらぬ人間にうつつを抜かすのは許せない事であった。
「ただのビームがこのザンネックに効くはずがないだろう?」
噛み締めていた唇を歯から解き放ち、薄っすらと笑う。
赤い唇がファラの美しい顔を血のように彩っていて、その美しさはいっそ魔女のようでもあった。
ザンネックは回避行動すらとる必要はない。
ザンネックの大皿SFS≠ヘ単独による大気圏突入・離脱能力、1G環境下での長時間高速飛行、そして強力なIフィールドすら搭載されているのだ。
宇宙世紀の技術の進歩は恐ろしいもので、その飛行能力は大気圏内ではマッハを凌駕し、防御性能では並のビーム兵器を寄せ付けない。
ファラ・グリフォンは笑う。
「ははははは!そうら三日月のブーフゥが笑っているよ!
ザンネックの鈴が坊やのお友達を狙っている!!
ヤザン!!お前が来ないからこうなるのさ!!」
ザンネック・キャノンの収束はなされ、赤い閃光が迸るとV2の視界を赤いフラッシュが覆い尽くした。
ホラズムを確実に狙う最悪の一撃が放たれたが、しかしウッソはもう動じなかった。
ヤザンが道を開いてくれた今、それへの対処は既に理解できているのだ。
「光の翼これならば!」
V2の両肘を思い切り背部へと押し、腕部シールド発生機となっているその肘先をウィングバインダーへと近づけ、そしてシールドを形成するIフィールドへと光の翼のメガ粒子を取・り・込・ん・だ・。
そうすることで背の翼を前面へと引っ張り込み、展開する。
それは安定していないメガ粒子の激流であるが故に、莫大とはいえ収束したザンネック・キャノンの威力に抗えるのだ。
「っ!チィ!?坊やァ、可愛いよ…!健気に守って、そんなに自分から殺されたいか!」
収束された一筋の赤い閃光は、光の翼の濁流によって散らされて、月表面に新たな無数のクレーターを作り、そして上空にそれた残りの赤い筋は無限の暗闇に消えていってしまった。
ファラは不機嫌な顔となって、邪魔者を先に始末してやろうとターゲットを再度切り替える。
先程からコロコロとターゲットを変え一貫性がないように見えるが、それは強化の弊害による不安定さではなく、寧ろクレバーさの現れだ。
その時々で、目標に固執せずに狙えるモノを狙い、撃滅する。
それが今のファラ・グリフォンであった。
「ふふ…!この一対一でこの私に勝てるものか」
「く…この気配が、あのお姉さんからのものなの!?これが…プレッシャーって奴なんだ…!」
ザンネックの装甲を徹して、ウッソに染みてきそうな妖
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