獣と龍と
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!」
実際に二人は会話を交わしたわけではない。
ミノフスキー・ドライブ粒子は戦闘濃度まで高まっているし、ワイヤーで接触通信をしている余裕もない。
だが二人はMS越しに互いの笑う顔を見た気がした。
そして、
「ベスパの奴らめ、相変わらず良いセンスのMSを出してくる!
ウッソ、貴様はあの皿乗りをやれよ…!俺はこちらで我慢してやる!」
直ぐにヤザンは二匹の龍へと襲いかかった。
いつもならば美・味・そ・う・な・強敵は真っ先に貰い受ける所だが、今の自分ではそれは難しいとヤザンは理解している。
ゲンガオゾを討ち、1秒の間もなく踵を返してドラゴンドッゴーラへと向かったヤザンを見、ウッソも師のその動きから己の役目を理解する。
(僕はこのままあの鈴の音をやる!そういう事ですね、ヤザンさん!――…え?)
理解し、今にもキャノンを発射しようとするザンネックへ向かう寸前に、視界の端で見たV2一号機の様子にウッソは一瞬、円筒操縦桿を握る手が緩んだ。
「そんな!?ヤザンさん、その機体!」
ヤザンのV2の脇から背部にかけて明らかに損傷があり、しかも左側ウィングバインダーからは不安定なメガ粒子が多量のスパークと共に垂れ流れている。
いつ引火するかも分からず非常に危険な状態といえた。
「そうだ、そうだよ!ストライカーさんが言ってたじゃないか!V2一号機はダメだって!
なんで、ヤザンさん!…っ、クソ!僕は何を喜んでいるんだ!」
ウッソは喜んだ自分を殴りたい衝動に駆られ、そして次の瞬間、頭をブンブンと振って忙しく思考を切り替えていった。
理性のコントロールは、幼き頃からハンゲルグとミューラに教え込まれている。
(あれしか方法は無かったって事だろ、ウッソ!なら、一秒でも速く決めるしかないんだ!)
確かにヤザンの選択は最善手だ。
この驚異的な4機のマシーン相手には、自分一人では詰みであった。
最速で増援に駆けつけるにはコレしか無く、またウッソでも同じ方法をとったろう。
実際、ヤザンが並の機体で駆けつけていれば時間的猶予は有りえず、ウッソは今頃宇宙の塵になっていたはずだ。
「鈴の音の奴…!さっさと沈めぇ!!」
ウッソはビームライフルを連射しつつザンネックへと立ち向かう。
「はん…私に向かってくるのは坊やかい。
なんでだい、ヤザン…なんで私に来ない?
腹ただしいねぇ、坊やを私に差し向けるなんてさ!」
ファラは一人唇を噛んだ。
求める男が折角目の前までやって来たというのに、彼は自分
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