妖獣と踊れ
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がらクルリと回転するといきなり背を敵に向けた。
普通ならば有り得ない行為であり、自殺行為そのものだがV2の機構とウッソのセンスが融合した時、それはV2ガンダムの最強の技≠ニなる。
(余剰エネルギーをメガ粒子にして垂れ流すなら、これが出来るはずだ!)
「光の翼よ!!」
ミノフスキー・ドライブを高出力で使用する時、背部ウィングバインダーからは推進力に変換しきれなかった余剰エネルギーがメガ粒子となって放出される。
本来の目的からすれば欠陥でしかないその現象を、ウッソは見事に自分の武器へと変えた。
V2の背から溢れた莫大なメガ粒子の光が、寸前まで迫っていた邪悪な紅い矢を弾いた。
光り輝く翼が、ドス黒き紅い光を裂き、散らす様は異様な程に美しい。
光る翼を広げたV2を止めることは紅い矢でも出来はしない。
「ハァ…!ハァ…!…なんて敵だ…V2のセンサーが全く届かない、見えない所から…こうまで正確に撃ってくるなんて…、けど…このまま…!」
先程幻視した皿の上のトンガリ頭≠フ、異様に長い砲身を抱えた姿を思えば接近戦は明らかに苦手にしているはずだ。
あんな長物は取り回しは最悪に違いない。
古今、そういう相手への対策など決まっている。接近戦だ。
――このまま一気に詰める
それがウッソのシンプル極まりない作戦だった。
ウッソの頬を嫌な汗が伝い落ちていく。
ウッソをもってしてもそれは至難であり、薄氷を踏む思いの連続だ。
紅い矢がまた来る。
だが、それをウッソは避け、そしてフェイントのように先読みで撃たれていた二射目、三射目も、やはりウッソは光の翼で凌いでみせれば、どうやらトンガリ頭のMSはV2を撃ち落とすのを諦めたようだ。
もはや紅いビームはV2を狙わず、セント・ジョセフとその周辺のクレーター郡を狙うことを再開してしまった。
「しまった…!敵の狙いが僕じゃなくなった!?だけど……っ、見えた!」
ウッソのニュータイプ的な視野ではなく、己の目とV2のモニターアイがとうとうソイツを捉えた。
まさに幻視した通りの異形。
アビゴルの意匠とやや似たトンガリ頭。
ザンスカール特有の猫目。
大皿の上にどっしりと立つ大型のMSは、そのパープル色の配色さえ禍々しい。
紫紺のMSが猫目を開き、真っ赤な目でチラリとV2を見やるがそれも一瞬。
すぐにそいつは手にする大型のキャノンを遥か彼方…セント・ジョセフ方面へと構え直した。
「やめろぉぉ!!」
阻止せんとV2がビームライフルを連射する。
だがそのビームは敵に
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