妖獣と踊れ
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荷を受け流す、いわゆる受け身動作をとってはくれない。
もろに衝撃が機体にかかってしまう。
それがこの結果を招いた。
鋭く大きな瓦礫がヤザン機にのしかかり、見ただけで分かる程に胴体もウィングバインダーも歪ませていた。
ウッソの顔が曇るが、それ以上に今は気になる事がある。V2一番機に乗るべき人の安否だ。MSは直せばいいが、人は簡単にはいかない。
「…そ、それで母さんや隊長は!」
「隊長ともミューラ工場長とも連絡がつかない!シュラク隊ともだ!まさか崩落に巻き込まれて全滅なんて想像もしたくないが…きっと連絡通路が潰れただけだと祈っててくれ」
よりにもよってヤザンその人と、多くのエースパイロットと音信不通に陥っている。
「そんな!」
「今はそれよりもお前だ、ウッソ!とにかく宇宙そらに上がってくれ!スタッフの中には赤いメガ粒子を見たってやつもいる。だとしたら、きっとバグレをやった奴らかもしれん!」
歪んだ顔で臍を噛んでいたストライカーは直様ウッソの背を強めに叩く。
そしてウッソもすぐに思考を切り替えた。
(…そうだ、僕が…僕が今やらなければいけないんだ!ヤザンさん達が出られるまで、僕がせめて時間を稼がないと!じゃないと、シャクティが…母さんが危ない!)
「分かりました!V2を出します!」
「おう!頼んだ!」
「任せたぜ、ウッソぉ!」
「やってみますクッフさん!」
他の整備士達からも声がかかる。
今すぐに出られるのはウッソだけで、しかもウッソはヤザン肝いりのスペシャルなのだから皆の期待値も高い。
普通、ティーンズの少年がこうも期待を一身に受けては萎縮か、或いは調子に乗りそうなものだがウッソにはどちらも無い。
あるのは、ただ皆を守りたいという思いと、そしてヤザンの教え子の一人として先生ヤザン不在時に醜態を晒した等と思われたくないからだ。
「今やらないと、帰ったらヤザンさんに怒られちゃうもんね…。僕が…やるんだ!」
一目散にウッソは走る。
母のMSへ。
V2二番機。奇跡的に小さい瓦礫がぶつかるだけで済み、状態はほぼ万全だ。
「ウッソー!MSを瓦礫から掘り出すのはこっちでやっておく!お前はさっさと出てくれ!」
クッフが叫び、出撃ハッチを開放。
ウッソは起動させたV2でサムズアップを作り、軽快にMSの足を動かした。
モニターの端で、走り回る皆を観つつ巧みに避けて歩く。
「ウッソ・エヴィン、でます!」
「どうぞ!」
クッフ
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