妖獣と踊れ
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ウッソの脳裏に恐ろしき未来のヴィジョンが映る。
想像もしたくないヴィジョン。
燃え盛るホラズム。
爆発と業火の中で消し飛んでいく、シャクティ、母。
友人達、仲間達。
そして恩師たる男。
ウッソが歯ぎしりをした、その時だった。
それは起きた。
「っ!ルペ・シノ!避けろ!!!」
ファラ・グリフォンは心眼の中で遠くホラズムの命を視ていたが、その中から恐ろしく速く、そして力強い命がケダモノの姿となって駆けるのを視たのだ。
そしてそいつは有り得ない速度で…まるで、眼前でゲンガオゾに組み伏せられている恐ろしく速い新型に劣らぬ速さでコチラへと駆けてきた。
ホラズムとV2の双方を注視していたからこそ、ファラ・グリフォンは味方への忠告はワンテンポ遅れてしまったが、それでも間に合うはずだった。
「避ける!?」
だがルペ・シノの脳にファラの言葉がサイコミュを通して響いた時、ルペ・シノは不愉快そうに叫んだ。
「何を避ける!私はもう、この子を取・り・戻・す・寸前なんだ!!
邪魔をするでないよファラ・グリフォン!!
ここで、あんたを私を腹の中へェェェェェェ!!!ッ!?な――――っ!!!!」
ルペ・シノが猛然とビームメイスをV2へ向けた時、ルペ・シノはこの世から消滅していた。
ルペ・シノは己に何が起きたのか、理解すら出来なかったろう。
ファラからの忠告を正しく理解するだけの理性が彼女に残っていなかったのは不幸だった。
「あっ」とウッソが呟く。
少年の悲壮に満ちていた顔が、年相応に綻んだ。
「よぉ、ウッソ。一人で良く持ちこたえたな。褒めてやるぜ!」
「ヤザンさん!!!」
ゲンガオゾのコクピットをビームで貫いた、もう1機のV2。
ウッソが最も頼りに思う男がそこにはいた。
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